研究課題
・薬物・アルコール依存症者の再使用リスクの測定および再使用の予測可能性について、海外で行われている先行研究に幅広くあたったのち、英文のレビュー論文としてまとめ、掲載の運びとなった。・社会認知的手法(潜在連合テスト:Implicit Association Test)を用いたアルコールへの渇望感を測定するためのプログラムのパイロット版を、専用ソフト(Inquisit)を用いて作成した。・連携研究機関(東京都立松沢病院)との協力体制を構築したうえで、アルコール依存症入院患者を対象として、退院後の再使用を自記式尺度や社会的認知測度のどの変数が予測力を持つか検証する研究プロトコルを作成した。・その他、以前より開発済みである薬物依存症評価系(Addiction Severity Index-Japanese Version、Stimulants Relapse Risk Scale, Alcohol Relapse Risk Scale)について普及活動を行った。ASI-Jについては2つの医療機関(茨城県立こころの医療センター・白峰クリニック)および多摩少年院で研修を実施した。SRRS・ARRSについては海外からの問い合わせ(トルコより)への対応を行うとともに、東京都医学総合研究所と共同で実施しているGIRK阻害機能薬のアルコール依存症患者への薬効評価研究を現在実施中である。
3: やや遅れている
申請者本人の勤務先異動(2011年6月1日より)に伴い、新環境で再度研究体制を構築する必要性が生じたこと、かつ新勤務先で使用する研究室が東日本大震災で被害を被り、修復に約1年を要したこと等の要因により、全体的に研究の進捗が停滞した。したがって文献探索・プログラムの作成・研究プロトコルの作成など、実際のデータ採取以外の作業に中心的に取り組んだ。
申請者の勤務先の異動や東日本大震災での研究環境の被害に伴い、研究計画に遅れが生じ、平成23年度の研究費の活用は困難になった。したがって今後は、平成23年度に予定していた依存物質関連バイアスを測定する尺度の作成を、平成24年度に予定していた依存物質の再発を予測する社会認知的手法の開発と並行して実施し、データもまとめて収集することで対応する。対象においては、連携病院における薬物依存者の絶対数が少なく、アルコール依存者を中心的に取り上げることで対応する。
研究作業全般を行うためにパーソナル・コンピュータを、データの統計解析を行うために統計ソフトをそれぞれ購入する。また研究実施にあたって、必要に応じてデータ収集および整理のためのアシスタントを雇用し、研究協力者には謝礼を支払う。研究成果の発表や最新知識の収集のために関連学会に参加し(旅費が発生)、研究成果を科学雑誌に投稿する(英文添削の費用が発生)。また新環境構築のために適宜研究実施に必要な物品を購入する。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)
Japanese Journal of Neurospsychopharmacology
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アルコール・薬物医学会雑誌
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巻: 88 ページ: in press
International Journal of Environmental Research and Public Health
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