研究概要 |
・薬物・アルコールなどの物質依存症のアセスメントについて、用いられているさまざまな尺度と実施上の注意点について臨床ハンドブックへの掲載論文としてまとめ紹介した。 ・連携研究機関(東京都立松沢病院)との協力体制を構築した上で、アルコール依存症入院患者を対象として、退院後の再飲酒を自記式尺度や社会的認知測度である潜在連合テスト(Implicit Association Test)によって測定し、どの変数が予測力を持つか検討する調査を実施した。年度末までに30例のエントリーが得られ、うち21例は退院直後のフォローアップ調査も終了した。退院後の再飲酒と退院前のさまざまな変数との関連を解析したところ、潜在連合テストによるアルコール選好度と退院後の再飲酒や再飲酒程度との間に中程度の有意な相関が認められ、社会認知的手法による再飲酒予測の可能性を示した。 ・その他、以前より開発済みである薬物依存症評価系(Addiction Severity Index-Japanese, Stimulants Relapse Risk Scale, Alcohol Relapse Risk Scale)について普及活動および同評価系を用いた臨床研究のサポートを行った。特にアルコール依存症や薬物依存症に対する治療薬(東京都医学総合研究所との共同研究)や心理的治療(東京都松沢病院との共同研究)の効果のアウトカムの一つとしてARRSを用いた研究のデータ収集が終了しており、現在結果をまとめているところである。
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