研究課題/領域番号 |
23730689
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
川島 大輔 北海道教育大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50455416)
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キーワード | 自死遺族ケア / ナラティヴ / 死生学 / 意味再構成理論 |
研究概要 |
【具体的内容】本研究の目的は、自死遺族ケアをめぐる実情、つまり遺族が自らのグリーフワークにおいて能動的に意味を再構成することが難しく、他者とのコミュニケーションを希求していることに配慮し、ナラティヴ死生学の観点から、自死遺族が自らの死別経験を物語として再構成し、他者と対話するためのツールとなる、ナラティヴ・ワークブックを開発することである。2年目にあたる平成24年度は、昨年度に引き続きコンテンツ案の収集、専門家へのヒアリング、意見交流を行い、コンテンツ案を確定した。その際、とくにグリーフに関する理論として意味再構成理論および3つの学びなおし(自己の学びなおし、故人との関係の学びなおし、世界の学びなおし)というメタファーを理論的支柱とした。あわせてナラティヴ・プラックティスの方法論を援用した。その上で、グリーフカウンセリング、トラウマへの弁証法的行動療法、認知行動療法、ゲーミング、ナラティヴプラックティス等において開発報告されている様々なワークを再構成し、ワークブックの案を開発した。これらの作業と並行して、自死遺族支援のための研修効果測定指標の開発にかかわる実証的研究を論文化し、採択された。今年度の成果のいくつかはすでに学会、公開シンポジウム等の場において発表し、研究者、専門家、当事者との活発な意見交流を行った。 【意義】これまでポストベンションに関する研究は少なく、またそれを直接、自死遺族ケアの実践に結び付けようとする研究は見当たらない。死生学や自殺学において常に指摘される、研究と実践現場の乖離を克服しうるものである。 【重要性】自死遺族が能動的に取り組めるワークとともに、他者とのコミュニケーションにつながる仕掛けを盛り込んだナラティヴ・ワークブック案が開発された。これは自死遺族ケアをめぐる実情を改善すると同時に、自死遺族のセルフヘルプに直接的にむすびつくものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続きコンテンツ案の収集、専門家へのヒアリング、意見交流を行い、コンテンツ案を確定した。また並行して、自死遺族支援のための研修効果測定指標の開発にかかわる実証的研究を論文化し、採択された。今年度の成果のいくつかはすでに学会、公開シンポジウム等の場において発表し、研究者、専門家、当事者との活発な意見交流を行った。 以上より、当初の計画通りに、順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
自死遺族に協力を依頼し、ワークブックに取り組んでもらい、その有用性や問題点等について自由に意見を述べてもらう。またその内容について質的分析を行うことで、ワークブックの意義を確認する。その後、成果のまとめと行い、ナラティヴ・ワークブックを完成させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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