研究課題/領域番号 |
23730694
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小野 史典 山口大学, 教育学部, 講師 (90549510)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究課題では,人間の基本的な知覚機能である時空間の知覚に焦点を当て,時間と空間の知覚に及ぼす逆行性要因の影響を心理物理学的手法を用いて調べ,そのメカニズムを解明すること目的として実験研究を行ってきた。年度の前半では,初年度に我々が発見した,空間的位置の知覚が逆行性要因によって歪む現象が,視覚的注意の移動によって生起することを様々な実験研究によって確かめた。さらに上記の現象が閾下刺激によっても生起することを示し,我々の空間知覚が逆行性要因によって歪む際には必ずしも意識的な注意が必要ないことを明らかにした。また,年度の後半には,人間の好悪判断などの主観的な意思決定においても,逆行性要因の影響を受ける可能性を示すデータを得た。 これらの研究成果をもとに,平成24年度は,海外の学術雑誌に5本の査読付き学術論文が採択された。学会における研究発表に関しては,国際発表を5回,国内発表を1回,招待講演を2回行った。 本研究課題で取り上げる,「逆行性要因による空間知覚の歪み現象」は,非常に単純な状況下において見られることから,日常生活においても頻繁に生起していると考えられる。さらに,我々の知覚が時間を遡って歪められる現象を解明することは,人間の知覚メカニズムの時間的側面を明らかにすることができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度は基本となる現象の生起メカニズムを明らかにすると共に,発展研究の可能性を示すことができた。研究期間全体で国際誌3本の受理を目指すことを目安としていたが,1年目と2年目を合わせて,国際誌8本と国内誌1本の掲載が決まったことから,当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,逆行性要因によって空間知覚が歪む現象の生起メカニズムを明らかにすると共に,発展研究の可能性を示した。次年度以降では,こうした逆行性要因によって知覚が歪む現象が,我々の意思決定において,どこまで影響を与えるのか,その限界および境界を明らかにする。これらの研究成果は,国内外の学会で発表するとともに,認知,知覚関係の専門誌に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として使用する。
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