研究目的に挙げた言語音に見られるカテゴリー的な知覚に関する神経メカニズムを検討するために、心理物理学的な側面からのアプローチとして3つの実験を行った。刺激として、音節の組み合わせ4種類(/ba/と/da/、/bo/と/do/、/ba/と/bo/、/da/と/do/)についてモーフィングという手法によりそれぞれ11段階の異なる中間音を合成した。平成23年度には、実験1として合成した中間音(4種類×11段階)をヘッドホンで提示し、被験者にはそれがどちらの音節に聞こえるか(例:「ba」か「da」か)を判断させた。また実験2として、同じく中間音を刺激として用いて、あらかじめ先に提示された音節との同異判断をさせる実験を行った。これらの実験結果から、曖昧な中間音を「ba」や「da」といった音節として識別・分類するための境界がどこにあるかを被験者ごとに同定した。そして実験3として、この実験により得られた各個人ごとの音節識別の境界データを元に、平成24年度の計画として挙げた、脳磁図を用いてこの音素識別に関する神経メカニズムを明らかにする実験を進めた。
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