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2011 年度 実施状況報告書

ニホンザルの寛容性に関する行動遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730705
研究機関大阪大学

研究代表者

山田 一憲  大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (80506999)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード寛容性 / 行動遺伝学 / 地域間変異 / 個体差
研究概要

個体差を生み出す要因を明らかにすることは、ヒトが多様で複雑な社会を形成する理由の解明に繋がる。本研究では、ヒトに近縁で複雑な社会を形成するニホンザルを対象とし、彼らの社会行動の個体差や地域間変異に影響を与える遺伝的要因を分子生物学的手法を用いて検討することを目指している。中心部成体オスの構成に変化が生じた勝山ニホンザル集団と淡路島ニホンザル集団を対象に、集団の寛容性を評定するための給餌実験をこれまでと同様に継続して実施した。餌実験とは、それぞれの集団の餌場に描いた直径8mの円内に広く小麦をまき、その円の中で小麦を拾って食べたサルの頭数とその際に生じた争いに関連した音声の数をカウントする実験のことである。実験の結果、中心部成体オスのメンバーシップが変化したにも関わらず、集団の寛容性に大きな変化は見られなかった。勝山集団は、淡路島集団と比較して、個体の密度が低く争いが頻繁に生じていることがこれまでと同様に確認された。本年度は、淡路島集団の個体識別を進めた。淡路島集団の個体数は、季節により変化するが、最大で310個体になることが確認された。この個体識別の情報を元に、個体のDNA試料を収集した。野生ニホンザルに対して非侵襲的な方法でDNAを収集するため、DNAは糞から抽出した。観察中に個体の排泄を確認次第、糞の一部を綿棒で擦り取り、Lysis bufferの中に溶かし入れ、個体名と収集日時を記録した。常温保存して実験室に持ち帰ったLysis bufferのチューブ中の糞試料はMorin et al.(2001)のプロトコルに従い、 QIAGEN社製のQIAamp DNA Stool Mini Kitを用いて、DNAを抽出し冷凍庫に保存した。今後は、収集したDNA試料の解析を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

行動データと個体識別の蓄積が着実に進んでいるため。

今後の研究の推進方策

今後もフィールドワークを行いデータの収集を進める。さらにDNA解析を行い、その分析結果を学会等で発表していく。

次年度の研究費の使用計画

フィールドワークと海外での学会発表、並びに遺伝子解析の試薬代として利用。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (12件)

  • [雑誌論文] ニホンザルにおける稀にしか見られない行動に関するアンケート調査結果報告2011

    • 著者名/発表者名
      中川尚史・中道正之・山田一憲
    • 雑誌名

      霊長類研究

      巻: 27 ページ: 111-125

    • 査読あり
  • [学会発表] 霊長類の学習実験が動物園来園者の行動に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      阪口耕平・山本裕己・松永雅之・伊藤二三夫・田中正之・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      ず~だがや。動物園大学2 in 名古屋
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2012.3.20
  • [学会発表] 京都市動物園におけるマンドリルの生後16ヵ月間の行動発達2012

    • 著者名/発表者名
      三谷彩夏・山本裕己・伊藤英之・高井進・山下直樹・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      ず~だがや。動物園大学2 in 名古屋
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2012.3.20
  • [学会発表] 京都市動物園におけるグレビーシマウマの生後16カ月間の母子関係2012

    • 著者名/発表者名
      山元由実・伊藤英之・柳本博・松岡賢司・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      ず~だがや。動物園大学2 in 名古屋
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2012.3.20
  • [学会発表] 母との密接さはワカモノ期ニホンザルメスの社会関係に影響するか?2011

    • 著者名/発表者名
      勝 野吏子・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011.9.15
  • [学会発表] ニホンザルメスの毛づくろいにおける互恵性と催促行動2011

    • 著者名/発表者名
      勝 野吏子・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011.9.15
  • [学会発表] 野生ニホンザル集団の毛づくろい交換における催促行動の働き2011

    • 著者名/発表者名
      上野将敬・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      日本動物心理学会第71回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011.9.11
  • [学会発表] 毛づくろいに伴う採食が毛づくろいの互恵性や継続時間に与える影響 ―野外ニホンザル集団での予備調査報告―2011

    • 著者名/発表者名
      大西賢治・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      日本動物心理学会第71回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011.9.11
  • [学会発表] 勝山ニホンザル集団における毛づくろいの互恵性と催促行動の効果2011

    • 著者名/発表者名
      上野将敬・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      第27回日本霊長類学会大会
    • 発表場所
      犬山
    • 年月日
      2011.7.17
  • [学会発表] ニホンザルのワカモノ期における母娘関係が成体との毛づくろい関係に及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      勝 野吏子・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      第27回日本霊長類学会大会
    • 発表場所
      犬山
    • 年月日
      2011.7.17
  • [学会発表] ワカモノ期におけるニホンザルの母娘関係と成体との毛づくろい関係の形成2011

    • 著者名/発表者名
      勝 野吏子・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      第12回ニホンザル研究セミナー
    • 発表場所
      犬山
    • 年月日
      2011.6.11
  • [学会発表] ニホンザルメス間での毛づくろいの互恵性における催促行動の働き2011

    • 著者名/発表者名
      上野将敬・山田一憲・中道正之
    • 学会等名
      第4回日本人間行動進化学会大会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2011.11.19
  • [学会発表] 嵐山ニホンザル集団における0歳齢みなしごの社会関係の縦断的変化2011

    • 著者名/発表者名
      鋤納 有実子・山田 一憲・中道 正之
    • 学会等名
      SAGA14
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      2011.11.12

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公開日: 2013-07-10  

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