厳格な優劣関係はニホンザルが持つ特徴の一つである。優位な個体は劣位な個体に対して、一方的に攻撃を加え、食べ物の優先権を持つ。本研究では、勝山集団(岡山県真庭市)と淡路島集団(兵庫県洲本市)のニホンザルを対象にフィールドワークを行い、行動データと遺伝子を収集した。解析の結果、淡路島集団のニホンザルは寛容な行動傾向を示すことと、攻撃性に影響を与えるとされる神経伝達関連遺伝子の特徴が異なることが示された。ニホンザルの寛容性に地域差が見られることは古くから指摘されていたが、遺伝的な背景がある可能性が示された。
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