人が感じる世界は、目や耳から入力された情報を時々刻々と脳が処理して得られた結果ではない。脳が元々持っていた情報や、後で得られた情報から推論をすることで生成された世界を我々は感じているのである。特に後で得られた情報に基づく推論のことを遡及的推論と呼ぶ。本研究ではこの遡及的推論のメカニズムの一端を解明すべく、視覚的アウェアネスおよび行為主体感をテーマとして研究を行った。研究の結果、1. 視覚的アウェアネス生成に関わる遡及的処理には最適な時間窓があること、その時間窓内で情報が顕在的に統合される必要があること、2. 遡及的処理は、運動予測とは独立に行為主体感生成に関わること、がわかった。
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