本研究の目的は、三次元空間の知覚における情報の統合について発達過程を検討することであった。H25年度には、視覚情報処理に関する脳活動の違いについての欧文学術論文1編が国際誌Neuroscience Lettersに採択された。本論文は,脳磁計(MEG)を用いて,成人の定常的視覚誘発脳活動 (Steady-State Visual Evoked Field: SSVEF)を計測した研究に関するものである。脳波研究においては,視覚刺激を短い時間間隔で提示すると,刺激周波数とその調和周波数にピークを持つ定常型視覚誘発電位(Steady-State Visual Evoked Potential: SSVEP)が生じることが示されている。SSVEPは非常に安定して観察され,また,計測時間も短いという利点がある。本研究において、MEGを用いた計測でも安定して,刺激周波数とその調和周波数にピークを持つ脳活動が観察されることが示され、さらに、MEGを用いることにより部位による活動の違いを比較できることが明らかとなった。実験の実施ならびに論文の作成においては、長年、MEGを用いた脳活動計測研究を実施されてきた生理学研究所の柿木隆介教授、乾幸二准教授の助言を受けた。本研究は、被験者からの直接の応答を取れず、長時間画面を観察させることが困難である乳児実験において、短時間の計測で、明確に比較的初期の処理の影響を分離するための手続きを検討するために必要な研究である。さらにH25年度は、脳磁図を用いた成人の脳活動の計測研究を、第1著者として国際学会The 5th Asian-Oceanian Congress of Clinical Neurophysiologyなどにおいて発表し、また第2著者として欧文学術論文2編が国際誌Behavioural Brain ResearchおよびSpringerPlusに採択された。
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