研究課題/領域番号 |
23730710
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
浅岡 章一 東京医科大学, 医学部, 助教 (80386656)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 睡眠 / 断眠 / 事象関連電位 / エラーに対する認知的処理 / Error-Related Negativity / error-Positivity / タイミング |
研究概要 |
本年度には,エラー後の認知的処理過程をエラーの大きさ別に検討するために使用するタイミング課題を数種類作成した.そして,それらの課題を用いて日中に予備実験を実施し,作成した複数の課題間でエラー反応後の事象関連電位を比較した.その結果,ディスプレイ上の左から右へ移動する四角を指定された範囲内にボタン押しで停止させる課題において,最も安定してERN/Ne (Error-Related Negativity / error-Negativity) と思われる波形を得ることができた.Pe (error-Positivity) に関しても,この課題を用いた際には安定した波形を得ることができ,明確なエラー試行における振幅増大も確認することができた. また,ディスプレイ上の四角の移動スピードを変えることで難易度の異なる複数の課題を用意し,それらを用いて予備実験を行った.そのデータから算出した難易度別の正解率を参考に,微細な反応タイミングのズレと明確なエラーの両方が一定程度の確率で得られるよう,次年度の本実験で用いる課題の難易度を調整した. さらに本年度には,タイミングに関わるエラー後の認知的処理に与える眠気の影響を予備的に検討するために,3名の被験者を用いて覚醒度の高い午前中 (10 pm) と,覚醒度の低い深夜 (2 am) および断眠中の朝 (7 am) に,上述の課題を実施し,課題中の脳波を記録した.その結果をもとに,次年度に実施する本実験での課題実施時刻と課題の試行回数,難易度を最終決定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今後に実施する本実験用の課題作成を完了することができた.さらに,眠気の影響を予備的に検討した結果から,今後の本実験における実験計画をより詳細に検討し,決定することができた.当初の予定と比較して,課題の作成に若干長く時間を要したものの,概ね計画通りに進行していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,予備実験の結果にもとづき作成した課題を用いて,眠気が微細なエラーに対する気づきと注意配分に及ぼす眠気の影響を検討する.本実験では,若年成人被験者16名程度を被験者とする.夜間条件と日中条件を設定し,それぞれ2 sessionのタイミング課題 (各40分程度) を実施する.各sessionの開始時刻は,夜間条件では2 am と 4 am,日中条件では,10 am と12 am (正午) を予定している.課題中には脳波を頭皮上20箇所から記録する.いずれの条件でも実験日4日前から被験者の夜間睡眠を24:00~7:00に設定し,日中の仮眠は禁止する.なお,2つの条件の順序に関してはカウンターバランスをとる. 課題の終了時には,Visual Analogue Scale (VAS) を用いて,課題成功率や努力の程度,眠気等に関して被験者に主観的評価をさせる. 解析では,各条件・各session別に課題の行動指標 (明確なエラーの割合,微細なエラーの割合) を算出する.脳波に関しても,明確なエラーと微細なエラーそれぞれで反応を基準に脳波を加算平均し,ERN/NeとPeの振幅を条件間で比較する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は主に,本実験を実施する上で必要な消耗品 (電極,電極糊,アルコール綿等) の購入と,被験者への謝金に使用される.また,本研究課題と関連する最新の研究動向について情報を得るための学会参加にかかる費用にも使用される.
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