我が国では成績評価は大学教員の裁量に委ねられているため,評価基準が不統一かつ曖昧であることが多い.しかし,成績評価の信用が低いままでは,個々の学生の「学修到達度」(学士力)を可視化したとしても,社会の信頼を得られない. そこで本研究は,成績評価の内部質保証を自律的に遂行してきた好例として,イギリスの制度を紹介した.ただし,この制度は全ての科目の試験内容・評価結果を複数の教員が直に確認するという教員に多大な負担が掛かる内容のため,単純な輸入は危険を伴う.このため,その制度を運用し続けられる理由を解明する目的で,カリキュラムの分析により試験の総数が日本と比べて少ないことを説明した.
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