研究課題/領域番号 |
23730723
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 マリア 筑波大学, 人間系, 助教 (20434425)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ルソー / 近代教育思想 / 道徳教育 / 宗教 |
研究概要 |
本研究の目的は、近代教育思想の祖と評されるルソー(J.J.Rousseau.1712-1778)の教育思想について、それがキリスト教的な倫理観を基盤にして構想されたものであり、宗教なくしては成立し得ない人格形成論であったという観点に立ち、これまで概して、近代啓蒙主義的ヒューマニズムの流れの中で合理主義的に解釈されることの多かった『エミール』を、宗教的世界観との連続性に着目しつつ、全面的にとらえ直すことである。「研究実施計画」に示したとおり、本年度は、上記の目的を達成するための基礎的研究として、従来の教育学研究があまり重要視してこなかったルソーの著作群、すなわち、『社会契約論』や『ポーランド統治考』といった比較的政治学的色彩の濃いもの以外の著作群や、それらに関連した史資料(和文・欧文双方を含む)を調査・収集するとともに、それら収集した資料の読解・分析を行った。本年度、取り組んだ予備的検討の成果は、来年度以降、ルソーの教育思想全体をとらえ直していく際の基礎的研究として活用することになる。なお、本研究の全体の成果は、折しも来年度、ルソー生誕300年を迎えるにあたり、すでに多くのイベントやシンポジウム、刊行物などを通して情報が更新される可能性が高いため、それら最新の動向を踏まえたうえで、最終年度にまとめる予定である。なお、本年度は、従来の教育学研究があまり重要視してこなかったルソーの著作群を見直す作業を進める中で、『エミール』の続編でありながら、今日まで十分な評価が与えられてきたとは言い難い『エミールとソフィ』という作品からルソーの教育思想のとらえ直しを始める必要性があるとの発想に至ったため、本研究の初期段階におけるひとつの成果として、この点を論文にまとめ掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するためには、従来の教育学研究があまり重要視してこなかったルソーの著作群やそれらに関連した史資料を収集、分析することが不可欠であるが、本年度、助成金をいただいたおかげで、とくに先行研究に関して必要があると判断された文献の主たるものを入手し、翻訳、読解に着手することができた。ルソーの著作群に関しては計画段階では、本年度から随時刊行される予定であったガルニエ社からのルソー全集の刊行が遅れているため、この点に関してのみ計画通りにはいかなかったものの、かわりに夏にシャンベリーを中心とした現地訪問の際に思いがけない資料の発掘など、予期せぬ収穫などもあったおかげで、全体としては目的の達成のための基礎的研究に関して順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度に収集し読解をはじめた先行研究のさらなる検討、分析をすすめつつ、さらに次年度に刊行される予定であるルソー全集の二種類の校訂版を中心に、ルソーの思想についての全体的把握に努める。とくに、次年度はルソー生誕300年を迎え、多くの記念行事、講演、大会、シンポジウム、出版などが予定されており、次年度はそれらの動向にも注視しつつ、日々更新されていくことが予想される情報を踏まえながら、最終年度のまとめに向けて取り組んでいくこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、さらなる先行研究の収集とルソー生誕300年記念行事の一環として刊行が予定されている二種類の新ルソー全集(ガルニエ社版とシャンピオン・スラットキン社版)の購入、および国内外で企画されている記念行事に参加し情報を得るために、研究費を使用させていただく計画である。とりわけ、ルソーの著作群に関して、計画段階では、本年度からガルニエ社からのルソー全集が刊行される予定であり、その分の経費を予算として計上していたが、出版社の都合により刊行が遅れ、本年度はその分の文献収集費が未使用の状況で残された。しかしながら、すでに次年度には刊行されるとの情報を得ているため、本年度、繰り越した金額を次年度そのまま、その購入費にあてる予定である。
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