研究課題/領域番号 |
23730724
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
荒川 麻里 筑波大学, 人間系, 助教 (20389696)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ドイツ / 民法 / 親権 / 対話 / しつけ / 子どもの権利 / 懲戒権 / 虐待 |
研究概要 |
本研究の目的は、ドイツの家庭教育における「対話によるしつけ」を可能とする仕組みの法制論的・実証的な解明である。初年度にあたる平成23年度は、法制論的研究の2つの課題(1.ドイツ民法典における親権法制とその理論の検討/2.ドイツ基本法における親の権利と義務の法制とその理論の検討)に焦点化して研究を進め、実証的研究については次年度以降に実施するドイツでの質問紙調査の準備を行った。 法制論的研究の第1の課題については、現段階でドイツ民法典における親権法関連の資料収集を和書・洋書ともにほぼ終えている。8月31日~9月11日、11月21~29日の2回のドイツ渡航では、法制資料(ドイツ連邦議会/法務委員会資料および議事録)の収集とともに、1970年代の親権法改正審議において中心的な役割を担ったA.StarkおよびA.Emmerlich元国会議員へのインタビュー調査を実施した。これらの情報をもとに論文をまとめ、投稿の準備を進めている。また親の懲戒権と関わって、3月にドイツにおける非暴力コミュニケ-ションのセミナーに参加し、親の生の声を聞くことができた。 第2の課題については、ドイツ基本法および親の権利に関する書籍および法制資料の収集を行い、それらをもとに、成果の一部を論文「ドイツにおける『子どもの権利憲法条項化案』棄却の論理」としてまとめ、公表した(2012年2月)。また、9月にはスイスにおいて「親教育」に関する学会に参加し、親の権利と子どもの権利の問題に関するドイツおよびスイスにおける先進的な事例について情報収集をすることができた。 実証的研究については、上記2回のドイツ渡航時に質問紙調査に関する助言を受け、それをもとに調査票案を作成した。3月11日~4月6日の渡航では、幼稚園および学校において予備調査および観察調査を行った。現在、調査票の再検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年の東日本大震災で被災し、研究環境を整えるまでに時間がかかったが、計画した内容についてはおおむね年度内に実施することができた。 具体的には、9月、11月、3月の3回のドイツ渡航(うち1回は4月に帰国したため平成23年度収支決算には反映されていない)、1回の国内学会大会参加、1回の外国学会大会参加(9月スイス)、1回の外国研修セミナー参加(3月ドイツ)、論文の公表、その他、資料収集を行った。
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今後の研究の推進方策 |
3月のドイツ渡航において実際に予備調査を行った結果、当初の仮説とは大きく異なる結果が出た。この結果をうけて現在、調査票の修正を行っている。2年度目に、改めて予備調査を行い、本調査は年度末に実施するよう計画を変更する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2年度目の研究費は、当初の計画通りに実施予定である。また、上に記した通り、3月~4月のドイツ渡航費用分は平成23年度収支決算には反映されず繰越金となっているが、すでに渡航調査実施済みである。 物品費については、しつけ及び対話に関する洋書を中心とする書籍、調査用の封筒等。 旅費については、予備調査および本調査のためのドイツ渡航3回(8月・1月・3月)、国内学会大会参加(12月・高知)。 その他には、調査に関わる印刷費、郵送費、謝金等を予定している。
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