研究課題/領域番号 |
23730726
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
久保田 英助 埼玉大学, 教育学部, 非常勤講師 (50386546)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 性教育史 |
研究概要 |
本研究は、大正期における雑誌メディア膨張期において、それらを通じて社会にあふれ出した「性情報」を分析し、(1)それらの性情報に描かれている「男女の関係性」を明らかにし、(2)また、それらの情報が日本人の男女関係に与えた影響について考察しようとするものである。その目的は、今日の日本人が必要とする性教育を考察する上で欠かせない史的題材を提示するためである。 平成23年度の研究計画に掲げた(1)「新資料の発掘・購入」については、古書店に資料情報の提供を依頼した結果、性教育に関する新資料を3種発見し、即時購入した。また、京都大学や大阪府立図書館、防衛研究所資料室などに出向き、性教育関連の資料を調査の上、必要と考えられる資料に関しては複写を行った。 平成23年度の研究計画に掲げた(2)「収集済みの資料から【男女の関係性】の分析を開始」については、すでに約100冊の収集済み資料に新資料を含め、それらの資料に描かれている男女関係の有り様の特質を明らかにするための研究を進めた。 本研究は、次の4つの視点から性情報を分析し、当時の男女関係のありようを描き出そうとしている。すなわち、(1)正しい男女関係のあり方とは、(2)不適切な男女関係とは、(3)道徳的な女性と非道徳的な女性とはどのような点で異なるのか、(4)道徳的な男性と非道徳的な男性とはどのような点で異なるのか、という観点である。雑誌メディアにおいては、もっぱら(1)が強調されていたことはいうまでもないが、すなわち本研究においても「道徳的な男性」の目線を中心に考察し、彼らの対岸に位置する、非道徳な男性ないしは女性に対する目線、すなわち男女間の「不適切」な関係をどのように捉えていたのかを考察することで、当時の日本人の男女の関係性の特質を明らかにしようとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新資料の発掘・収集に関しては、予定していたよりもやや遅れてはいるものの、おおむね問題の無い程度で進めることができている。すでに、100冊程度の資料が手許にあるため、分析の進行に支障をきたす事は無いと考えている。無論、引き続き、資料の発掘・収集に努力する。
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今後の研究の推進方策 |
研究の推進方針(1)「新資料の発掘・購入」については、ひきつづき、古書店に資料情報の提供を依頼し、新資料が入荷・発見されればそのつど購入する。 研究の推進方針(2)および(3)「新資料の資料から【男女の関係性】の分析を開始」については、平成23年度に解した分析を引き継ぎ、 さらに新しく収集した資料を中心に、そこに描かれている男女関係の有り様の特質を明らかにしていく。そして、本年度はとくに、分析結果をふまえ【当時の人々に与えた影響】の調査を開始する。 研究の推進方針(4)「資料の電子化作業の開始」については、1名のアルバイトの協力を得て、全資料・全ページ電子化しDVDに保存する。 最後に研究の推進方針(5)「まとめと成果発表」として、学会等にエントリーし、研究成果を発表するとともに、全体の成果を含む報告書を作成する。また、ホームページを立ち上げ、収集資料のタイトル・目次データを公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
〔設備備品費〕研究計画に従い、新資料をさらに収集する。古書は貴重なものになればなるほど高価なものになる(平均3000~5000円)が、約70冊程度の資料を購入する予定である。また、2年目には、資料の電子化を行なうために不可欠なデジタルカメラと三脚を購入する。 〔消耗品費〕資料のデータを整理・保存するため、適宜複写を行い、整理するための文具を購入する。さらに電子化した資料を保存するためのDVDも購入する。 〔国内旅行費〕医科系大学付属図書館に2回調査に赴く予定である。また、研究成果の発表のため、学会大会への出張を行う。
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