研究課題/領域番号 |
23730729
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 麻沙美 東京大学, 大気海洋研究所, 講師 (00539520)
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キーワード | アクションリサーチ / 授業研究 / 授業デザイン |
研究概要 |
本年度は、文献の整理と、昨年度末に研究協力が始まったインドネシア教育大学の研究者、及び実践校とのアクションリサーチを開始した。授業研究の研究者に加え、インドネシア教育大学の数学教育の研究者、及び実践指導者が参加し、研究協力校(実践校)での研究グループと校長、副校長を対象にしたワークショップ、研究ミーティングを3~4月、9月の訪問の際に行った。定期的に、インドネシア教育大学の研究者が学校を訪問し、授業やミーティングについては、音声・映像での記録をとっている。 本研究では、教師が日常的に遂行する教材開発と授業実践、及び授業改善の省察から、授業デザインのプロセスと実践化のプロセスを明らかにすることを目的としている。 昨年度は、国内の算数教育を専門とする教員に協力を得たが、本年度管理職が代わり、学校自身の研究活動との関わりから、昨年度までの授業やその記録を基にして分析、検討を行うことにした。 日本の算数教育は、教育実践において先進的であり、教師の専門性が高いことがアクションリサーチを通して確認された。このことは直接的な比較研究においては困難である側面が多いため、統制した比較は行わず、今後現在実践の改善に向けて尽力する教師グループは、知識、信念において顕著な前進を見せている。そこで本年度、及び来年度を通してアクションリサーチを継続し、本研究が焦点をあてた信念、意思決定といった内的過程の検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度末に得た研究協力者(研究者・実践者)との関係構築、及びワークショップなどを含めた直接的な関与をすすめることができた。また、教科教育の研究者が加わったことでアクションリサーチが加速したことは大きな親展であり、学校全体の支援が継続的に行われている。国内での研究協力者への訪問は先方の校内事情により困難になったが、昨年度までの授業記録などを生かして分析をすすめている。一部変更があったものの、方法として研究計画に即して概ね十分に研究が遂行できていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度にあたるため、文献のレビューと実践的活動との対照を行いながら、授業デザインを支える実践知と意思決定について、検討を深めることになる。数学教育を専門とする研究協力者の背景となる理論的知見を加味することも含まれる。 秋と冬に再度、実践校を訪問し、アクションリサーチをすすめるとともに、理論的枠組みの検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
アクションリサーチがすすむことで分析可能なデータの取得がすすんでいる。今後、インドネシア語からの翻訳が必要となってくるため、協力者、もしくは翻訳が可能な業者等があれば、翻訳謝金を支払うことになる。 また、国内分のビデオ記録の音声を文字化する必要があるため、寄稿料が発生する。 分析、検討の結果は国内外での学会発表へとつなげていくため、学会発表、旅費が発生する予定である。
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