本研究課題の最終年度として、授業観察、及び授業後の事後検討会への参加とその分析に加えて、研究協力校と在籍する管理職、及び教員に対して、インタビュー調査を実施した。当初の予定から発展して、国外での研究校が研究協力校、及び研究協力者となり本研究課題の探究を遂行した。 アクションリサーチとして実施した授業改善、学校改革の研究成果としては、学校と教師の授業に対する見方、学習観の変容が授業デザイン、及び授業後の振り返りから捉えられた。また、2年間の継続的な参与を通して、学校管理職や主に算数担当の教員と、数学理解のあり方、授業研究の目的について議論し、相互の理解を深めていくディスカッションを行った。 授業観察から得られた知見を共有し、協力校の課題と対照し、その解決策を検討する協議を行った。なお、この考察は、現地の共同研究者と共有し、ワークショップと継続的な協議に生かされている。 また、協議を通して、学校の背景や教育文化の理解が深まるとともに、「授業研究」の方法や目的、あり方に対する理解が深まることで、協力校は授業改善の方向性を学校全体として見直すに至り、教師の力量形成と授業改善に寄与する「授業研究」のあり方を独自に設計するに至っている。一方、観察、アクションリサーチとして関与した申請者は、日本の「授業研究」に対する省察によって、PDCAサイクルに基づく授業研究の活動サイクルに対して、教材理解や教授・学習に対する理解を深める「プレプラン」のフェイズが必要であることを見いだし、教員研修の必要性を提案した。 国内外で関心を高める授業研究の課題として、効果的な授業研究を遂行するために必要な教師の知識や信念を再考する必要性を課題として提起するものである。本研究の成果は、授業研究の国際学会で発表を予定しているが、今後も継続してアクションリサーチを遂行することが可能な成果を得た。
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