研究課題/領域番号 |
23730730
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片山 勝茂 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10450008)
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キーワード | シティズンシップ教育 / 道徳教育 / 正義 / ケア / ジョン・デューイ |
研究概要 |
平成24年度は、昨年度の教育哲学会第54会大会における研究討議「教育における正義とケア」における報告をふまえて、その内容を修正・発展させて、教育哲学会の学会誌『教育哲学研究』第105号において「教育における正義とケア―その基本的構図」というタイトルで発表した。 また、研究テーマに関連する古典的文献として、アメリカの代表的教育哲学者であるジョン・デューイの論文の翻訳に取り組んだ。具体的に翻訳した文献は、次のとおりである。プラグマティズム・道具主義・実験主義と呼ばれる理論の主要部分を明確にした「アメリカにおけるプラグマティズムの発展」という論文。プラグマティズムの立場から法人の人格という概念について、その歴史的背景を踏まえて論じた「法人の人格」という論文。価値および価値の判断について検討し、そこにはある特定の対象を指し示すことが含まれていることを主張するとともに、批評の目的は外見上よいものが本当によいものかどうかを見定めることだと論じた「価値・対象を指し示すこと・批評」という論文。以上の論文の翻訳を東京大学出版会から『デューイ著作集』の一部として出版すべく準備中である。 さらに、学校でのシティズンシップ教育を通じて徳を育成することに対する反対論を展開している論者の議論を検討し、シティズンシップ教育の限界を明らかにする研究に取り組んだ。その成果を論文の形にまとめ、発表するべく準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教育哲学会の学会誌に「教育における正義とケア―その基本的構図」という論考を発表するとともに、ジョン・デューイの翻訳やシティズンシップ教育への反対論を検討した研究成果の発表を準備しているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、シティズンシップ教育への反対論を検討した研究の成果を発表するとともに、シティズンシップ教育と道徳教育の関係性を明らかにし、カリキュラムの中でどのように位置づければよいのかを提言する研究に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は外国での調査研究ができなかったため、平成25年度は外国での調査研究もしくは学会発表を行う予定である。また、政治哲学・シティズンシップ教育・道徳教育関連資料・図書を購入するとともに、国内外の学会への参加、助言・専門的知識の提供への謝金等を予定している。
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