研究課題/領域番号 |
23730738
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
遠藤 貴広 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (70511541)
|
キーワード | 協働的な省察的探究としての評価 / 実践コミュニティの変容過程としてのカリキュラム / 熟議的コミュニケーションとしての評価 / 批判的省察 / キー・コンピテンシー / コンピテンス概念 / 教員養成スタンダード / reflectiveness |
研究概要 |
所属機関の教員養成スタンダードがDeSeCo以後の能力と評価の理論を踏まえた枠組みで策定され、2011年度新設の「教職実践演習」を始め、所属機関の教員養成カリキュラム全体がこのスタンダードに基づいた取り組みとなっている。2013年度は、この取り組みを継続させると共に、それを現時点でどのように意味付けているのかを論文にまとめ、学会や所属機関の機関誌で発表している。 新しい取り組みとしては、学部の実践コア科目に位置付けている授業において、2013年12月14日と21日に「教育実践研究 公開クロスセッション」が設定され、大学生297人に対し、高校生117人、現職教員・大学院生等41人を交えた、計455人によるセッションが行われた。それは、大学生が教員養成課程で学んできたことの意味を高校生や現職教員等の新しい視点から問い直す契機となった一方で、高校生にとっては、大学でいま何が学ばれているのかを学生の生の声から具体的に知る機会となると同時に、高校で学んでいることがどのような意味を持つものになるのかを大学生の視点から探る機会となっていた。こうした取り組みが、教育実践研究と教員養成の方法としてどのような意味を持つものになるのかを検討するためのデータが確実に蓄積されている。 理論的には、カリキュラム概念の問い直しが図られるようになり、従来の「学習経験の総体」「学びの経験の履歴」としてのカリキュラムから、「実践コミュニティの変容過程」としてのカリキュラムへと拡張した視点での研究を着想するに至っている。 また、DeSeCoにおいてキー・コンピテンシーの核心に位置付いている「省察性(reflectiveness, reflectivity)」に注目し、教育学のみならず、哲学、心理学、社会学、成人学習論、組織学習論の視点から、省察の深さとその評価をめぐる研究のための理論的整理が進められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していなかった新たな取り組みも実施できるようになり、様々な研究会等で本研究の知見を紹介する機会が得られ、そこでの議論を手がかりに、当初予想していなかった新しい視点での理論的課題を見出すこともできるようになっているため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの取り組みを確実に進めると共に、研究途中に見出された新しい視点での研究も進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が育児短縮勤務を取る必要があり、海外調査には出られなかったため。 成果報告のための旅費・印刷費にあてる。
|