研究課題/領域番号 |
23730744
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
湯田 拓史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 研究員 (20448161)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 商業教育 / 進学経路 / 人口移動 |
研究概要 |
本年度は、次の二点の作業に集中した。(1)対象とした高等商業学校は、官立神戸高等商業学校、山口高等商業学校、長崎高等商業学校、小樽商業教育学校、市立大阪高等商業学校であり、作業の途中で県立神戸高等商業学校も加えた。各高等商業学校の『学校一覧』から取得した情報を統計ソフトExcelを用いて入力する。入力する情報は、在学生の属性に関する情報。そして、卒業生の属性に関する情報である。入力には、当初の予定を変更し、研究代表者である湯田が一人で1万人分のデータを入力した。(2)対象とした6都市の経済的発展過程の確認した。さらに地方議会と高等商業学校の関連を地方史や議会史を用いて検証した。都市の発展形態については、地方公共団体の図書館に収蔵されている各都道府県の統計書、市町村の統計書を使用した。その結果、高等商業学校の前の教育階梯にあたる甲種商業学校の設置状況が、都市によって差異があったことが明らかになった。とくに神戸市の場合、甲種商業学校の拡大が早かったことと、官立神戸高等商業学校が大学昇格した後に県立商業学校を県立の高等商業学校に昇格させていたことから、都市発展にともなって進学経路としての商業学校の地位が向上していたことが指摘できる。このことは、高等商業教育機関の設置と対象地の都市の人口動態とが深く関連していることを示しており、まさに学校設置の影響を把握しうる教育行政学からのアプローチの有効性を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
対象とした高等商業学校は、官立神戸高等商業学校、山口高等商業学校、長崎高等商業学校、小樽商業教育学校、市立大阪高等商業学校以外に、作業の途中で県立神戸高等商業学校も加えたことができたからである。また、甲種商業学校の地域別の設置状況をかつて文部省が収蔵しており現在国立公文書館に保存されている『学校台帳』から調べることができ、地域別の設置状況の違いを確認することができたことも理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度購入予定であったSPSSを前倒しして購入し、現在エクセルのデータを移行中である。分析する際に焦点化する項目についての検討を行い、適切な分析が実施できるようにする。「在校生」については、出身地・族籍・中学卒業者か商業学校卒業者か・出身学校名の情報を取得し、「卒業生」については、初職の職種・企業名・勤務地、居住地の情報を取得する。また、これらの項目はクロスさせることで分析を深めることにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に取得した情報のデータベース作成を完了させ分析を行う。分析に際しては、統計分析ソフトSPSSを使用する。そして前年度に引き続き、対象とした6都市の経済的発展過程の確認と地方議会と高等商業学校の関連を検証する。最終年度の成果をまとめて研究発表を行う。発表先は日本教育学会を予定している。したがって次年度の研究費は、データの点検確認に必要な人件費、プリントアウトに必要な消耗品、欠落データの補足のための出張旅費などがあげられる。さらに学会発表での出張旅費も必要となる。
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