子ども向け電話相談では、音声のみという対話の限界が電話の受け手の自己反省を促し、子どもに謙虚に向き合うという倫理的高まりを生むこと、こうした自己反省を促す装置として、イギリスでは、ボランティアの社会的立場の高さ、トレーニングの専門性等が用意されていることが明らかになった。また、子どもたちはナナメ関係を重ねると、初対面の他者や、縦関係の他者とも良好な関係が築ける、という仮説が立った。解釈のもととなる対話論については、対話を相手にゆだねざるをえない負荷や、受け手が相手の言葉を「待つ」という受動性の受け入れにおいて、倫理的高まりが顕著になることから、時間性と倫理の問題が関係するという仮説が立った。
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