研究課題「生活基盤型保育における知的教育の研究―造形の遊びから学力を可視化する―」では、日本の幼児教育・保育における知的教育について焦点を絞り、造形の遊びと小学校における教科の単元との関連を示すことで幼児教育の理解を促し、過度な早期教育の抑制と、保幼小連携の推進に役立つ研究を行っている。 初年度より、小学校教育における国語や算数といった教科と幼児教育における造形活動との関連を示すために、小学校教諭や保育者からインタビューを行い、造形の遊び場面が教科学習に繋がっていると思われる場面などを調査し、仮説を立てた。また、次年度では、造形活動の場面としては、作品や制作鑑賞の場面をこれまでよりも活用することでの言語活動の効果を検証し、有効性を提案した。今年度は、これら幼児の造形活動の初期にみられる試し活動の活動過程、保育者による導入の活動過程、制作の活動過程、共同での制作活動過程、話し合いや作品をみあうなどの活動過程などを区分し、造形活動の意味を過程ごとに分類した。そして、これをもとに、学習指導要領から各教科の学習単元のもとになる活動、重なる活動の割合をグラフに数値化した。このことで、幼児の造形活動は、小学校教科の知的教育の基礎となる経験や、経験から形成される学習意欲、学習の初期概念をつくる活動として役立っていることが証明できたと考えている。
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