本研究課題はアメリカにおいて「スタンダードに基づく改革」が①教育制度構造と②教育財政構造にどのような変容をもたらしたのかを考察することにある。「スタンダードに基づく改革」とは、連邦政府・州政府が共通のカリキュラムや教育目標を設定し、そのアカウンタビリティを求めることで教育の質の向上をはかる政策のことをさす。本研究では「スタンダードに基づく改革」が州政府の教育上の責任を明確にし、州政府と連邦政府が相互に関係を深めることで、集権的な教育構造へと変化しつつあるが、同時に基本的な教育財政構造は変化せず、州政府と地方学区が教育行政の基盤であり、この両者の同意なくして政策実施されないことを明らかにした。
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