研究課題/領域番号 |
23730770
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
井手 華奈子 創価大学, 教育学部, 講師 (30532444)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育哲学 / 平和教育 / 民主主義教育 / 市民性 / 社会正義 / マイノリティ / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は、「平和の概念は多様である」との前提に立ち、多様な平和の概念を対立関係から調和関係へと導くためには、どのような教育的アプローチが必要とされているのか、という問題に教育哲学の視点からの応答を試みるものである。わが国のみならず多様性を認めてゆくことは市民社会の原則であるが、多様性の間を取り持つ教育的アプローチは何か――沖縄戦と沖縄基地問題に関する学習(以下オキナワ平和学習)の事例を通して「本土の人」「沖縄県民」「アメラジアン」それぞれの視点を手がかりにして見つけだすこと――これが本研究の基本的関心である。当該年度に実施した研究の成果は以下の四点にまとめられる。第一に、四月から十一月の期間は、本研究の基礎を築くため、先行研究、関連資料の情報検索および収集を行った。第二に、十一月二十一日から二十三日までの期間、さらなる関連資料の収集のための国内調査として、沖縄県平和祈念資料館、沖縄県公文書館、アメラジアンスクールを訪問し、現地でのみ収集可能な資料収集をおこない、文献資料のみならず視覚資料の収集もおこなった。また、訪問先では、展示物や展示物の説明の詳細を確認すると同時に、平和書籍や平和資料として収集されている資料のもつ平和教育の視点(expected audienceが誰なのか)に気をつけながら資料収集をおこなった。第三に、一二月から二月の期間は、収集した資料を整理分類する作業をおこなった。第四に、整理分類された資料の第一次分析検討をおこない、四月に締め切りのある国際学会における中間発表のための論文作成をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると評価する理由は以下にあげられる。研究計画書で当初予定されていたのは―I.先行研究、関連資料の情報検索および収集1 [5月~7月]、II.さらなる関連資料の情報検索および収集2:国内調査・沖縄 [8月]、III.資料の分類・分析および基礎的研究作業1[9月~12月]、IV.資料の分類・分析および基礎的研究作業2[1月~3月]――であった。実際には、Iの作業に予定以上の時間を要し、また、IIの国内調査においても、特にアメラジアンスクール訪問の日程が学校側との調整を要としたことなどから、調査予定が8月から11月へと遅れることとなった。しかし、IVの作業をおおむね予定されていた通り終わらせることができたため(ただし現在作成中である中間報告書において、さらなる考察が必要となっている)、本年度に予定されたすべての研究段階を達成することができたため、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、研究の中間成果として国際学会において論文発表をおこなう予定である。発表予定の学会は、AESA(American Educational Studies Association)である。四月にプロポーザルを作成し、九月までの期間で中間発表論文を仕上げる予定である。第二に、AESAにおける中間報告への諸批判を検討する。十一月に開催される学会での発表の際の質問や諸批判を、十二月から二月にかけて検討しながら、中間発表論文を再構成し、根本的な問題事項を明らかにしていく予定である。第三に、三月には、最終的な研究の総括に着手し、日米双方における学会発表のための原稿の作成を行う。全三段階において、研究協力者であるWalter Feinberg博士からの助言は欠かせない。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際学会における中間発表を遂行するため、外国語の論文執筆の費用として英語論文校閲費用、国際学会出席のための旅費を計上する。最終的な研究の総括を国際学会において遂行するための英語論文校閲費用を計上する。論文作成時に収集が必要となる関連資料、文献購入費を計上する。論文作成過程において研究協力者であるWalter Feinberg博士からの専門的な知識の提供に対しての謝金を計上する。
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