研究課題/領域番号 |
23730777
|
研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
佐喜本 愛 九州産業大学, 国際文化学部, 講師 (90552216)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 奉安殿 / 戦後教育 / 小学校 |
研究概要 |
本年度は研究期間3年の初年度にあたるということで、奉安殿に関する先行研究の整理・検討および史料の調査・収集を中心に研究を進めた。 まず、先行研究の整理・検討については、国立国会図書館、国立教育政策研究所附属図書館等の蔵書目録などにより、主要先行研究を抽出した。国会図書館においてはデジタルライブラリーとして納められている史料の複写を可能な限り実施した。また、本研究を進めていく段階で参考資料としたい文献が私家出版、すなわち購入が困難なものが多いことがわかり、国会図書館所蔵となっている文献の複写がきわめて重要なものとなった。複写可能なものは複写依頼をおこない、必要な分については、ハードコピー、あるいはデジタルカメラ撮影を行なっている。関係史料の収集にあたり、随時史料整理を行なった。本研究の性質上、文字史料ではなく、写真(図面・画像)の史料という性質からその印刷・保存方法の工夫につとめ、史料整理終了分についてはデータベース化も進めた。 それらの史料を中心に「奉安殿に関する一考察」として『九州産業大学国際文化学部紀要』第51号(2012年)に論文としてまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は昭和初期に各地の小学校に建設された「奉安殿」はの建設・維持・解体を通して、文書史料に依拠する従来の制度史研究とは異なり、〈モノ〉の取り扱いに注目することで、学校と地域社会の連携の具体的な構造を明らかにし、それによって、近代日本の「学校化社会」の形成過程を描きだすことを目的とするもので、まず、奉安殿に関する基本史料の再検討を行ったが、国立国会図書館のデジタル化作業にともない、関係文献を複写できないことも多く、作業が進まなかった。さらに計画していた福岡県(筑豊・筑後地方)の各小学校の史料収集、分析は先方の都合により、実施することができなかったため、本年度の研究は遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き「奉安殿」に関する文部省、宮内省関連の史料調査を実施すべく、国会図書館、国立公文書館へ足を運ぶ。特に宮内省関連の史料は、未着手のものが多いため時間を要すると思われる。そして、昨年実施できなかった福岡県筑豊・筑後地方の小学校所蔵文書の史料調査を行う。昨年度は校務と先方の都合により実現できず、繰越金を生じる結果となった。その反省から、すでに連絡を取り合い時期を決定している(7月20日~8月10日/8月20日~9月10日)。調査予定小学校は以下の通りである。筑豊方面:直方南小学校・直方北小学校・直方西小学校・新入小学校・感田小学校 下境小学校筑後方面:青峰小学校・上広川小学校・高良内小学校収集した史料を分析し、2月には上記調査をまとめ、同年5月開催の全国地方教育史学会での発表に向けて、準備を開始する(地方の教育史を対象としているという研究の性質上、まず地方教育史を専門的に扱う学会において本研究の妥当性を問う)。
|
次年度の研究費の使用計画 |
(1)国会図書館・国立公文書館への史料調査(旅費・複写代金)(2)福岡県筑豊・筑後地方への史料調査(旅費・複写・印刷)(3)北部九州地方の小学校年史の購入(複写)(4)近代日本建築史・近代日本皇室関連図書・福岡県・大分県史関連図書の購入(5)A3印刷可能カラープリンタ購入
|