研究課題/領域番号 |
23730778
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
佐藤 仁 福岡大学, 人文学部, 准教授 (30432701)
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キーワード | 教員養成 / アメリカ / アカウンタビリティ / 評価 |
研究概要 |
本年度は、米国における教員養成アカウンタビリティ・システムの連邦政府の動きを分析し、その州への影響を検討した。連邦政府の動向として、初等中等教育政策と高等教育政策が結合する形で教員養成アカウンタビリティ・システムが構築されている点を指摘した。具体的には、高等教育法によるレポートシステムによってアカウンタビリティを確保するハードが整えられていること、そしてNCLB法および頂点への競争政策によって児童・生徒の学力テストの結果が教員の評価、さらにはその教員を輩出した教員養成機関の評価となる付加価値評価が活用され、アカウンタビリティの内実(ソフト)が規定されていることを指摘した。 次に、こうした連邦政府の動向を踏まえ、各州のアカウンタビリティ・システムの分析を行い、事例州として、ルイジアナ州の分析を行った。ルイジアナ州では、州独自の教員養成改革の一環として、連邦政府によって求められたアカウンタビリティ・システムの構築を段階的に行っていた。まずは、州の認定制度の整備と全米アクレディテーションの活用を行い、その上で州独自アカウンタビリティ・システムを導入した。この中で、アカウンタビリティの指標として付加価値評価を重視している。このシステムは、州認定制度とは別制度で機能しながら、その結果によっては認定を取り消すという措置が講じられているものであった。本研究では、こうしたアカウンタビリティ・システム、さらには付加価値評価の結果が教員養成機関の存続に大きくかかわる点を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、教員養成アカウンタビリティ・システムの全米的な状況を把握し、その傾向の特徴を明らかにすることを目的としていた。本年度の研究では、連邦政府の動向を分析することで、全米の動向に大きな影響を及ぼしている仕組みの内実を明らかにすることができ、さらには特にアカウンタビリティ・システムを顕著に整備している州としてルイジアナ州の状況を分析した。 全米の動向(各州の動向)すべてを把握しきれてはいないが、研究枠組みに示したアカウンタビリティ・システムの強弱に関する分析ができているため、研究はおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、各州の事例をより詳細に検討することで、分類化を試みる。その成果を基に、事例州の詳細なシステムの分析を進め、分類の特質を探ることを目的とする。なお現段階では、教員養成アカウンタビリティシステムの構築に対して消極的(連邦政府の影響を受けていない)な州の動向を探ることで、強力なアカウンタビリティ政策への対抗軸を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、予定した海外出張の日程において、体調不良に見舞われたため、調査を断念した。そのため、繰越金が発生している。そこで、次年度は、米国の現地調査を重点的に実施する。現段階では2州以上の事例を取り上げるため、複数の州を訪問することが必要である。複数の州での調査を行うことから、海外調査の旅費が増えることが想定されるため、繰越金をその費用に充てる。また、研究最終年度のため、学会や研究会での発表旅費、さらには報告書作成費用等が必要となる。
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