本年度は、教員養成アカウンタビリティ・システムについて、具体的な州の制度的特質およびその実態の解明を行った。50州のアカウンタビリティ・システムを概観し、付加価値評価を利用するルイジアナ州を連邦政府に対する親和性が強い州として分析対象とし、対してアクレディテーションに頼らない独自のシステムを構築している州としてバーモント州を分析対象とした。 ルイジアナ州の分析においては、多くの先行研究や公開されている一次資料を活用した。ルイジアナ州では、修了生が担当した児童生徒の学力到達度を教員養成機関の評価とする付加価値評価が、教員養成機関に対するアカウンタビリティ項目の中で最も配分比率の高いものとなっている。また、このシステムの結果により、州による介入措置が取られ、それでも改善しない場合は、州の認定が取り消されることになっている。つまり、付加価値評価を中心として、教員養成機関の認定取り消しを行うことのできるアカウンタビリティ・システムが構築されていることが明らかになった。 次に、バーモント州の分析においては、一次資料の分析ならびに現地調査を通した関係者へのインタビューを行った。バーモント州のアカウンタビリティ・システムは、連邦政府との親和性も低く、アクレディテーションとの連携も見られない、独自のシステムとなっている。具体的には、今後5年間の改善計画を教員養成機関に提出させることで、改善のシステムを促進させたり、教育成果については、学生がポートフォリオを作成することを義務化することによって、より文脈に沿った成果を示すことを求めたりしている。こうした取り組みが可能となる背景には、州と教員養成機関の密な関係性があり、州は認定する立場にあるものの、教員養成機関に対して建設的なアドバイスを行う存在でもあることが明らかになった。
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