研究課題/領域番号 |
23730781
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研究機関 | 上智短期大学 |
研究代表者 |
谷田部 美佳 (杉村 美佳) 上智短期大学, その他部局等, 准教授 (70442126)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アメリカ |
研究概要 |
本年度は、明治期日本における一斉教授法成立史の研究を中心に行った。具体的な内容は、以下の2点にまとめられる。(1)土浦小学校(茨城県)や藤沢小学校(神奈川県)等の各小学校沿革史や、学校管理法書、小学校教師が用いていた『多級教授法』等の教授法書を収集し、明治期の日本において一斉教授法が定着する過程を検討した。とりわけ、アメリカで軍隊の管理方式にヒントを得て考案された「教場指令法」が、1870年代の日本に一斉教授法のモデルとして移入され、それが1890年代の学級制への移行によって、「学校管理規則」として継承され、画一的で教師中心の一斉教授法が成立する過程を考察した。(2)『教育時論』、『教育報知』や、各地の教育会雑誌などの雑誌分析により、一斉教授法の成立過程を教育的・社会的効用という新たな観点から検討した。具体的には、一斉教授法が成立する過程において、一斉教授の徹底化の背景には、生徒間の競争力の強化や、生徒の行為や品格を画一的に陶冶しようとする政策的意図があったことなど、一斉教授法の教育的・社会的効用を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度前半の史料収集および研究は、概ね順調に進展したが、後半に育児休業を取得し、研究を中断したため、進展状況はやや遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
今後研究を推進するにあたり、主要な方策は、以下の3点にまとめられる。(1) 明治期日本における一斉教授法成立史の研究:各小学校沿革史や教授法書等により、一斉教授法が定着する過程を明らかにするとともに、『教育時論』、『教育報知』や、各地の教育会雑誌などの雑誌分析により、一斉教授法の成立過程を教育的・社会的効用という観点から解明する。(2) 19世紀後半のアメリカにおける一斉教授法および個別教授法の成立過程に関する研究:ニューヨーク市、サンフランシスコ市、セントルイス市の教育長年報の分析を中心に、教育方法の「一斉化」と「個別化」について、教育的・社会的効用という観点から解明する。(3) 明治後期日本における教育方法の「個別化」に関する研究:どのような一斉教授法批判が展開され、いかなる個別教授法の教育的・社会的効用が主張されたのかについて、『小学校教師』等の雑誌記事分析を行う。また、日米における教育方法の「一斉化」と「個別化」の過程の比較研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年研究費は、おもに国内調査に使用する。具体的には、明治後期日本において、どのような一斉教授法批判が展開され、いかなる個別教授法の教育的・社会的効用が主張されたのかについて、『教育時論』、『教育報知』の他、各地の教育会雑誌、教授法書、および『小学校教師』等の雑誌記事収集に用いる。また、19世紀後半のアメリカにおける教育方法の「個別化」に関する史料の収集にも使用する。
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