研究課題/領域番号 |
23730782
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研究機関 | 仁愛女子短期大学 |
研究代表者 |
青井 夕貴 仁愛女子短期大学, 幼児教育学科, 講師 (70573674)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 保育者 / 保護者 / ポジティブな感情 / ネガティブな感情 / 経験年数 / ソーシャルスキル |
研究概要 |
本研究の目的は、保育者の保護者に対する感情を明確化し、保育者が保護者に対して抱く感情が保護者支援に及ぼす影響を検討することで、保育者の保護者に対する感情の変容を解明し、保護者支援における保育者のための新たな実践方法を構築することである。平成23年度は、保育士655名、保護者2855名を対象に郵送によるアンケート調査を実施し、保育者が保護者に抱く感情の明確化を中心に行った。 保育士からみた保護者の印象と保護者からみた保育士の印象を比較すると、保育士が保護者という言葉から受ける印象は偏りがなく、保育士は保護者に対して強い印象を抱いていない可能性が考えられた。一方、保護者から保育士に対しては、「感じのよい」「親切な」など肯定的な印象が高かった。また、保育士からみた保護者の印象は、保育士のソーシャルスキルが高いほどポジティブになる傾向が示され、活動性や協調性、リーダーシップ性などとの相関が認められた。 ポジティブな感情として「親しみやすさ」、ネガティブな感情として「苦手さ」を感じる特徴について両者で比較をした結果、保育士には顕著な差がみられなかった。保護者では、親しみやすい保育士として「笑顔が多い」「子どもとの関わりが上手」など、苦手な保育士として「口調が攻撃的」「反応がうすい」などにおける選択率が高かった。したがって、保育士は、多岐にわたる特徴を基に保護者への親しみやすさや苦手さを感じ、保護者は、特定の特徴によって親しみやすさや苦手さを感じる可能性が示唆された。また、保育士が親しみやすさや苦手さを感じる保護者の特徴の数をみると、経験年数が10年以上の保育士よりも10年未満の保育士の方が多かった。 以上により、保育士の保護者に対する感情には、保育士の経験年数やソーシャルスキル、性格傾向が関連している側面があると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンケート調査を実施し、分析に取りかかることができたため、おおむね順調である。しかし、アンケート作成や調査協力先との調整に予想以上に時間を要したため、インタビュー調査は平成24年度に取り組むこととした。
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今後の研究の推進方策 |
現在、アンケート調査によって明らかになった保育者と保護者の相互に対する感情の結果を基に、インタビュー調査の準備(インタビュー項目や対象者の選定など)に取りかかっている。とくに、インタビュー調査の対象者の選定においては、対象者数を減らし、より詳細な項目の聴取を重視する必要があると考えている。今後は、インタビュー調査を実施し、アンケート調査結果と共に分析を行うことで、保育者の保護者に対する感情の変容過程を明らかにし、ケース検討会などに活用していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度では、インタビュー調査における調査協力費、テープ起こし、内容分析への謝礼等として使用する。さらに、成果発表として学会への参加費及び旅費、アンケート及びインタビュー調査協力者への成果物印刷代、郵送代等として使用する。
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