研究課題/領域番号 |
23730784
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研究機関 | 鳥取短期大学 |
研究代表者 |
白石 崇人 鳥取短期大学, その他部局等, 助教 (00512568)
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キーワード | 大日本教育会 / 帝国教育会 / 教員改良 / 教育学 / 日本史 / 教師論 / 日本教育史 / 日本教員史 |
研究概要 |
平成24年度においては、明治期大日本教育会・帝国教育会の教員改良運動について以下のような研究を行った。 まず、両教育会の前身団体の機関誌である『東京教育会雑誌』を精査し、そこで発表されていた教師論を整理した。あわせて、同前身団体機関誌『東京教育協会雑誌』『東京教育学会雑誌』の教師論をも分析した。これにより、大日本教育会の教師論の原点を把握することができた。この研究成果は、教育史学会第56回大会において「明治13年東京教育会の教師論―普通教育の擁護・推進者を求めて」と題して発表した。現在、同学会紀要へ投稿し、審査中である。 第2に、明治30年代の帝国教育会が設置していた中等教員講習所に焦点をあてて、その中等教員養成事業について明らかにした。あわせて、1900年までの同教育会の教員養成・研修事業についても検討した。この研究成果は、教育史学会第56回大会コロキウムにおいて「明治30年代帝国教育会の中等教員養成事業―中等教員講習所に焦点をあてて」と題して発表した。現在、日本教育史研究会の紀要へ投稿し、審査中である。 第3に、明治24(1891)年~26(1893)年の大日本教育会夏季講習会を検討し、その教員改良における意義を明らかにした。第2と合わせて、教員改良運動の模索期・確立期・展開期の教員養成・研修事業についてその具体像を明らかにすることができた。この研究成果は、「明治20年代半ばの大日本教育会による夏季講習会の開催」(単独、中国四国教育学会第64回大会、山口大学、2012年11月10日)と題して発表し、同学会紀要で活字化した。 なお、運動模索期・確立期の機関誌における教師論分析については、同時期に発表された大日本教育会単級教授法研究組合の報告書(明治28年刊行)における教師論を分析することで代替した。この研究成果については、別の機会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、明治期大日本教育会・帝国教育会の教員改良運動について、その実態を把握するとともに、実態の背景およびそこに至る経緯を実証的に明らかにすることである。平成24年度は、その研究の一つとして、両教育会の前身団体から教師論の原点を明らかにし、両教育会の夏季講習会・中等教員講習所から具体的教員改良事業の実態を明らかにした。そして、その研究結果を教育史学会・中国四国教育学会で発表することができた。 なお、教師論・養成事業の研究が、研究計画時の予想以上に明らかにすべき余地を多くもっていたため、「委員会」・教育者顕彰事業の研究よりも優先して進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降の研究は、次のように進める。 基本的には平成23年度・24年度の研究において十分進められなかった研究を補完しつつ、運動確立期・展開期(1894~)の研究を中心に進める。ただし、教師論・教員動員・養成事業の研究が、研究計画時の予想以上に明らかにすべき余地を多くもっていることがわかったため、教育者顕彰事業の研究よりも優先して進める。 平成25年度においては、確立期の夏期講習会・学術講義会について研究する。また、模索期と確立期との間に位置する明治25(1892)年~26(1893)年について、機関誌『大日本教育会雑誌』における教師論を分析したい。これら研究成果については、各学会・紀要等で発表する。前年度に進めた未活字化の研究についても、活字化を目指したい。 平成26年度においては、展開期の帝国教育会機関誌における教師論の分析、研究調査組織に対する教員の動向の分析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度研究費に繰り越し額が残ったのは、必要物品が少なく済んだためである。繰り越し分は、主に、次年度の研究発表・資料調査の旅費を補うために使用する。
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