研究課題/領域番号 |
23730784
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研究機関 | 鳥取短期大学 |
研究代表者 |
白石 崇人 鳥取短期大学, その他部局等, 准教授 (00512568)
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キーワード | 教育学 / 日本教育史 / 日本教員史 / 大日本教育会 / 帝国教育会 / 教員改良 / 教師論 / 日本史 |
研究概要 |
平成25年度は、確立期(1894~1900年)における大日本教育会・帝国教育会の教員改良運動について、教員講習事業に焦点をあてて研究を進めた。その研究成果については、「帝国教育会結成直後の教員講習事業―指導的小学校教員の学習意欲・団結心・自律性への働きかけ」(教育史学会第57回大会個人発表、福岡大学、2013年10月13日)と、「明治期大日本教育会の教員講習事業の拡充―年間を通した学力向上機会の提供」(中国四国教育学会第65回大会個人発表、高知工科大学、2013年11月3日)として発表した。なお、後者は中国四国教育学会編『教育学研究紀要』第59巻(2013年、533~538頁)で活字化し、かつ両論文ともに広島大学に提出した学位論文(博士)の『明治期大日本教育会・帝国教育会の教員改良―資質向上への指導的教員の動員』にまとめて活字化した。 確立期における両教育会の教員講習事業については、次のようなことを明らかにした。その講習事業は、全国の指導的小学校教員(予備軍含む)その中等教員程度の学力形成と教職意識増進とを目指すものだった。当時の指導的教員は、国民教育への使命感や激しい社会変化に対する焦燥感をもって、学習要求を高めていた。両教育会は、その要求に後押しされながら講習事業を拡充整備していった。指導的教員の団結や教員の専門性の高度化を目指した結成期以来の両教育会の教員改良構想は、教員講習事業においても実行に移された。このことから、資格取得・上進による教員補充を目指した行政当局・師範学校・地方教育会における教員講習とは、意味合いの異なる独自の教員改良の取り組みであったことがわかった。 以上の研究に予想以上に時間を費やしたため、展開期の教員講習事業、および教員像・顕彰対象者の分析については十分に進めることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、明治期大日本教育会・帝国教育会の教員改良運動について、その実態を把握するとともに、実態の背景およびそこに至る経緯を実証的に明らかにすることである。その研究の一つとして、両教育会の教員講習事業(夏期講習会・学術講義会)における教員改良事業の具体的実態と実施背景を明らかにした。そして、その研究結果を教育史学会・中国四国教育学会で発表し、これまでの研究成果と合わせて広島大学に提出した学位論文に取りまとめることができた。 なお、教員講習事業の研究は、研究計画時の予想以上に明らかにすべき優先順位が高くなったため、教員像・教育者顕彰事業の研究よりも優先して進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究は、次のように進める。 基本的には、平成25年度に学位論文として取りまとめた研究成果を基盤としながら、その補完を行う。とくに、両教育会の教員改良構想が目指していた「国家隆盛」の内実について、明らかにしなければならない。具体的には、両教育会の刊行物における教育勅語解釈の変遷について、検討する。これは、両教育会が目指した教員像の根本的意味を明らかにする研究になる。 また、これまでの研究成果をまとめて発表するため、報告書のまとめにかかりたい。
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