本研究の目的は、オーストラリアで現在推進されている「統一性」を指向する学校教育改革(全国学力調査の推進とそれにより必要とされるに至った同国初のナショナル・カリキュラムの開発)が、どのような政策的背景を持って進められ、かつ初等中等教育に関する権限を持つ各州でどのように受け止められているのかを明らかにすることである。関連資料の分析および聞き取り調査から、全国学力調査(NAPLAN)で常に上位に位置する2州では、各州教育カリキュラムにナショナル・カリキュラムが統合されたのに対し、NAPLANで下位に位置した諸州では、ナショナル・カリキュラムへの移行が進められていることが明らかになった。
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