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2011 年度 実施状況報告書

博物館図録の教育学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730786
研究機関北海道大学

研究代表者

若園 雄志郎  北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 博士研究員 (90573668)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード博物館 / 多文化教育 / アイヌ / 図録
研究概要

本研究の目的はアイヌに関する資料を有した博物館展示における図録の分析を通じて、多文化・多民族社会の中での博物館における教育機能について検討を加えるものであった。博物館での教育普及活動は展示およびその解説、講演会や研究会などによって行われているといえ、その中で写真や文字情報により展示を案内する、または解説を加えるものとして図録がある。そこにみられる展示の意図について明らかにするため、平成23年度は博物館図録の網羅的収集を行った。アイヌに関する展示を行い、かつ博物館図録が充実しているといえるのは財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構主催のもの、及び北海道開拓記念館主催のものであった。前者は平成23年度までに17回、後者はテーマ展22回・特別展15回が開催されている。ただし分析対象とするのが1997年のアイヌ文化振興法施行以降であるため、後者に関してはテーマ展10回・特別展8回がその対象となる。基本的にはアイヌ文化に関する展示が行われているといえるが、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構の図録ではアイヌに関する各学問領域の専門家による解説及び論文が掲載されており、その中では多文化・多民族社会における相互認識を深め、社会へ向けたメッセージが発信されているものもあるため、単に文化を紹介するだけにとどまらない内容を持っているといえる。このことよりさらに分析対象を拡大することにより展示活動が社会に対するメッセージを発信する場として大きな役割があることが明らかになったといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アイヌに関する展示を行い、かつ博物館図録が充実しているといえるのは財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構主催のもの、及び北海道開拓記念館主催のものであるが、前者の全ての図録、及び後者の9割以上の図録を確認することができた。また、これ以外にアイヌ民族博物館、北海道立北方民族博物館、国立民族学博物館などで開催された展示の図録の内、8割程度について確認することができた。平成23年度は図録収集に集中することとなっているが、全件を確認できた財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構主催のものに関してはすでに分析を加えている。

今後の研究の推進方策

一部未確認となっている図録に関しての収集(著作権法の範囲内での複写を含む)のため、引き続き各博物館に対しての確認作業及び収集を行う。また、すでに収集した資料に対して、スチュアート ヘンリ・上野華香「先住民をめぐる社会科教科書の記述―日本とカナダの比較研究(他者像としてのアイヌ民族イメージを検証する―文化人類学におけるアイヌ民族研究の新潮流)などでスチュアートが示した枠組みを援用し、a)国家、b)多文化共生(社会)、c)エスノセントリズム、d)人種・民族、e)先住民族、f)現代差別、g)ステレオタイプ、の各項目についてどのような記述がなされているかを分析する。また教育学の視点としては多文化教育の視点がどのように記述されているかについても検討する。同時に使用されている写真についても同様に検討を加える。ここで得られた成果を学会(日本社会教育学会または日本国際教育学会を予定)にて発表する。

次年度の研究費の使用計画

次年度に使用する予定の研究費として165,350円があるが、これが生じた理由としては、1)当初購入予定であった図録が寄贈ないしは安価で収集することができたため、2)所属機関の図書館における閲覧が可能となったことにより収集対象から除外したため、3)天災により出張予定がキャンセルされたため、である。本研究費に関しては、1)当初収集範囲を北海道及び東京都の博物館としていたのを拡大し、各国立博物館及びそれ以外の範囲でアイヌ関係の展示を行った博物館も対象とする、2)成果の発表を行う予定の学会を日本国際教育学会の秋期大会(国際教養大学(秋田県))とし、そのための旅費とする、という計画で使用する。

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公開日: 2013-07-10  

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