本研究は、高等教育における女性学生の学びや成長の経験を理論的・実証的に探究することを目的とした。社会・人文科学を専攻する日米の博士後期課程在籍女性学生及び若手研究者を対象にした実証的研究と、女性たちの学びや成長についての認識を考察するための理論的探究をおこなった。高等教育機関は、言説と社会制度への不適合の感覚をもつ女性たちの制度的な受け皿としてあり、また、高等教育での学びは、そのような女性たちに既存の言説では語りえない言葉(言説)を開発するためのツールを提供するものとしてあることを明らかにした。高等教育機関での学びは、女性のエイジェンシーを表現することを可能にするツールをとして捉えられうる。
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