発達障害の理解や子どもの就学方法をめぐり、保護者や教員の間に様々な葛藤が生じている。本研究では特別支援教育を中心に、医療や教育の場面に限られない葛藤の背景を明らかにすることを目的とする。 助成期間前半は保護者へのインタビューを中心に、親子関係、学校との関係、将来の見通しなどに関する葛藤の所在を明らかにした。後半は障害児教育のより広い背景を視野に、共育共生論の主張を検討した。結果、同年代の子どもと「共に学ぶ」という価値観が、保護者や教員の障害理解や教育手法の選択に影響することが明らかになった。教育の分野に持ち込まれる医療や心理の知識の相対化のみならず、教育独自の力学の解明が今後とも課題になる。
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