研究課題/領域番号 |
23730794
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
長尾 博暢 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (90454587)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | インターンシップ / 大学教育 / 産学連携教育 / カリキュラム / 教育社会学 |
研究概要 |
日本の大学インターンシップは、急速な普及の一方で実態における著しい多様化を招いてきた。しかしその「多様性」に対する学術的な接近は、これまで十分に行われてきたとは言い難い。本研究の目的は、日本の大学インターンシップの多様な展開に対する分析的理解をすでに試みた研究代表者の研究成果(長尾(2009))を発展させ、日本の大学インターンシップにみられる多様性は、そこに関わるアクターの「多様性」に起因するものであるという仮説に基づき、インタビュー調査を手がかりにインターンシップ実施校や担当教職員など関係アクターの特性に着目することで、日本の大学インターンシップにおける「多様性」の理論的整理を行うことである。 研究初年度である平成23年度は、本研究の研究方法の根幹をなすインタビュー調査(半構造化面接)の準備として、文献研究と、インタビュー調査の予備的調査を進め、その知見をもとに質問項目の設計に着手した。また、本研究の予備的考察の意味を含む論考として、長尾(2012)を発表した(下記)。同論考では、正課教育としてのインターンシップにかかわる大学組織に焦点を当て、インターンシップが教育課程に位置付けられるうえでの「正統性」を類型論的に考察することを通じて、教育課程と厚生補導の関係性や、それらを担う組織間の有機的連携の実態を明らかにしようとした。長尾博暢「インターンシップと大学組織」『インターンシップと体系的なキャリア教育・職業教育』高等教育研究叢書(広島大学高等教育研究開発センター)、査読有、117号、2012年、45-61頁 平成23年度は上記の研究活動の結果、日本の大学インターンシップにおける「多様性」の理論的整理の鍵は、インターンシップにかかわる<教員組織>および<厚生補導組織>の実態と関係性の解明にあるという理解を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作業としてのインタビュー調査は、当初の計画よりもやや後ろ倒しとなっている。しかし、すでに【研究実績の概要】の欄で述べたように、平成23年度の一連の研究活動の結果、本研究の目的である日本の大学インターンシップにおける「多様性」の理論的整理の鍵が、インターンシップにかかわる<教員組織>および<厚生補導組織>の実態と関係性の解明にあるという理解に到達したことは、インタビュー調査の実施およびその結果の解釈にとって、きわめて重要な知見であり、質的な意味での研究の進展は、おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度も前年度に引き続き文献研究を行うと同時に、特に年度上半期は、平成23年度から繰り越した研究費と合わせて活用するかたちで、インタビュー調査を本格的に実施する。平成23年度からの文献研究およびインタビュー調査をもとにした知見のとりまとめは、年度下半期の中心的な研究活動であり、まずは中間報告という位置付けで関係学会等での口頭発表(第一報)を実施する。ここで得られた評価を、最終的な成果発表(当該学会誌など査読つき研究雑誌への論文投稿)に反映させることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献研究を行うため、「物品費」を用いて、平成24年度中に逐次発行されるキャリア教育・インターンシップ・産学連携教育・キャリア形成支援に関連する図書・資料一式を購入する。また平成24年度はインタビュー調査の本格的実施にあたり、インタビュー実施校との往復に「旅費」を用いるほか、インタビュー記録のテープ起こし作業に「人件費・謝金」を用いる。平成23年度から繰り越した研究費はこの「人件費・謝金」の全額未執行によるものが大きかったが、これは平成24年度にテープ起こし作業を開始することで解消される。また、インタビュー調査対象者との間の通信費を「その他」の費用として見込んでいる。なお「旅費」については、資料収集・研究の成果発表にも用いる。
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