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2012 年度 実績報告書

中国の高等教育大衆化と大学の機能分化

研究課題

研究課題/領域番号 23730795
研究機関広島大学

研究代表者

李 敏  広島大学, 高等教育研究センター, 研究員 (30531925)

キーワード高等教育 / 規模拡大 / 大衆化 / 機能分化 / 中国
研究概要

最終年度においては、中国高等教育拡大に関する政策の変遷を考察し、大学、専攻の設置、及び規模の変化などのマクロ研究を実施した。その上で、中央省庁所属大学(エリート大学)、及び大衆化の担い手となっている地方政府所属大学と民弁大学をそれぞれ一校ずつ選び、大学の関係者を対象にインタビュー調査を実施すると同時に、大衆化前後(1998年~)の各大学の変化の資料を収集した。各種類の大学に対して、インプット、スループット、アウトプットという三つの角度から、大学の機能分化の実態に迫る。その結果は、以下の通りである。
①高等教育の大衆化が実施してからの最初の数年間は、すべての大学が急激な拡大に踏み切ったが、数年後に、質の低下を危惧し、エリート大学は拡大にブレーキをかけた。それに対して、地方大学、特に大学の経営が学費に大きく頼る民弁大学は、拡大をし続けている。②インプットから見ると、高い学力の学生がエリート大学に進学するという構図は拡大前と比べ、特に変化はないが、地方大学と民弁大学は定員割れの問題に手を焼いている。その背景としては、高等教育全体の規模の持続的な拡大に対し、一人っ子政策のために18歳人口の持続的な減少による需給ギャップが挙げられる。また近年拡大しつつある中高生の海外留学ブームも大学進学者の減少を招いた。大学の定員割れを防ぐために、調査した沿海部の地方大学、民弁大学は、内陸部、そして地元の戸籍を持っていない出稼ぎ労働者の高卒者のリクルートに力を入れている。③スループットから見ると、地方大学は、経営、法律などのような事務職員層、販売従事者など一般にホワイトカラーと称される職業群に直結する経営学、外国語などの専攻を中心に、進学が拡大した傾向が読み取れる。一方、民弁大学は、より市場の需要に応じて新しい専攻を設置する傾向がある。④アウトプットから見ると、大卒者の就職難が共通的に見られる。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「日本の留学生政策と実態に関する考察―中国人留学生を事例として―」,2013

    • 著者名/発表者名
      李敏
    • 雑誌名

      広島大学高等教育研究開発センター『大学論集』

      巻: 第43集 ページ: 81-96

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「教員と院生から見た大学院教育の現実と課題-インプット・スループット・アウトプット-」2013

    • 著者名/発表者名
      藤村正司・李敏
    • 雑誌名

      戦略的研究プロジェクトシリーズVI(広島大学高等教育研究開発センター)

      巻: VI ページ: 3-26

  • [雑誌論文] 「入試選抜別に見る日本の大学院教育-2011年全国調査のデータ分析を中心に-」2013

    • 著者名/発表者名
      黄福涛・李敏
    • 雑誌名

      戦略的研究プロジェクトシリーズVI(広島大学高等教育研究開発センター)

      巻: VI ページ: 27-40

  • [雑誌論文] 「『第三の開国』を目指して」2012

    • 著者名/発表者名
      李敏
    • 雑誌名

      社団法人日本経済調査協議会『今こそ日本の進路を問う―入選論文集―』

      巻: 1 ページ: 65-77

    • 査読あり
  • [学会発表] 「中国の高等教育大衆化と大学の機能分化ー3大学の調査を例に-」2013

    • 著者名/発表者名
      李敏
    • 学会等名
      第16回日本高等教育学会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      20130525-20130526
  • [学会発表] 「中国の大学教員の現状とサポート政策」2013

    • 著者名/発表者名
      黄福涛・李敏
    • 学会等名
      広島大学高等教育研究開発センター、セミナー『大学・大学院改革を担う大学教員の現状』
    • 発表場所
      東京ガーデンパレス
    • 年月日
      20130223-20130223
  • [学会発表] 「中国人留学生から見る日本の大学院教育-広島大学を事例とする」2012

    • 著者名/発表者名
      李敏
    • 学会等名
      第15回日本高等教育学会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20120603-20120604
  • [学会発表] 「中国の『教育熱』の解読-中国式『努力』の構造」2012

    • 著者名/発表者名
      李敏
    • 学会等名
      中央大学教育研究会
    • 発表場所
      中央大学
    • 年月日
      20120524-20120524
  • [学会発表] 「教員と院生から見た大学院教育の実態-インプット・スループット・アウトプット-」2012

    • 著者名/発表者名
      藤村正司・李敏
    • 学会等名
      広島大学高等教育研究開発センター、セミナー『大学院教育はどう受け止められているのか-教員・院生・社会人調査から』
    • 発表場所
      東京ガーデンパレス
    • 年月日
      20120428-20120428
  • [学会発表] Japan's Graduate Education from the Perspective of Chinese Students-A Case Study of Hiroshima UniversityApril 3,2012.2012

    • 著者名/発表者名
      Min LI
    • 学会等名
      RIHE & CSHE Second Joint Research Seminar “Challenges and Issues facing Higher Education in Australia and Japan"
    • 発表場所
      Hiroshima University
    • 年月日
      20120402-20120403
  • [図書] 『こども事典』「一人っ子政策と加熱する受験」2013

    • 著者名/発表者名
      深谷昌志
    • 総ページ数
      765
    • 出版者
      ハーベスト社

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公開日: 2014-07-24  

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