研究課題/領域番号 |
23730799
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研究機関 | 聖カタリナ大学 |
研究代表者 |
長尾 由希子 聖カタリナ大学, その他部局等, 講師 (00570821)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 専攻 / 教養知・職業知 / ジェンダー / 進路 / 複線型専門職 |
研究概要 |
概念枠組の精緻化のため、専門職・ジェンダー・高等教育等の関連文献を検討した。先行研究の精読が主であり、この点については具体的な研究業績の形にはなっていない。ただし、申請者は関連する研究【※1】を通し、栄養士・看護師・保育士・幼稚園教諭のように複数の学校種が養成に関わる国家資格の専門職を「複線型専門職」という新しい概念でとらえることを提起した。同概念を援用すると、高等教育市場で起きた職業知へのシフトが、短期高等教育の女性を中心に特定の専門職市場の拡大と表裏一体で進行したことをより説得的に論証できる。そこで本研究にも同概念を導入する。 また、男女の専攻・進路やキャリアの非対称性および歴史的変化を考察する上で、性別役割分業意識は従属変数等の設定にも関わる重要な点である。そこで、高校卒業生のパネルデータ(東京大学社会科学研究所)を用い、若年期における性別役割分業意識の変容を分析した【※2】。分析の結果、進路選択時点の性別役割分業意識とキャリア展望が直接連動するモデルの想定は現実的ではないことや、女性の「手に職」志向は可変的で緩やかな概念でとらえておく必要性が示唆された。これらの点は分析モデルに反映する。【※1:長尾由希子(2011)(査読付)「『複線型専門職』の養成における多様性と学校種 ―栄養士養成施設の専門カリキュラムにおける必修単位の比較から―」『産業教育学研究』第41巻第2号、pp.32-39、p.50.;直接的には科研費基盤研究A「非大学型高等教育と学位・資格制度に関する研究」(研究代表者・九州大学吉本圭一)(課題番号:21243044)の一環であるが、職業知・専門職の考察として本研究計画と関連する。】【※2:長尾由希子(2011)(査読付発表)「若年期における性別役割分業意識および伝統的男性役割観の変容 ―高校卒業生のパネル調査データから―」日本社会学会第84回大会】
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者の異動、腕の骨折などのため、物理的な体勢整備等に時間がかかった。 また、詳細な分析を進める前に確認しておくべき基本的な作業課題や概念の検討などが発生した。たとえば、特に女性の初期キャリア展望に関する分析に、性別役割分業意識を組み込む必要性があるかどうか、職業知と教養知の区分に関して、より明確な論拠を提示できないかなどの点を確認する分析に時間がかかり、申請時の計画とは進度・内容等、若干の変更が生じた。 申請時の計画における1年目は、先行研究を精読し、性別・専攻別進路および高等教育機関卒業後進路を規定するマクロの要因を中心に分析を行う予定であった。分析に関して、マクロ・ミクロ要因に峻別した分析というよりも、モデル設定に関連する基本的・派生的な分析に予定以上の時間がかかった。しかし、モデル設定は重要な作業であり、また、重要な概念(複線型専門職)を加えることができた。 全体として、若干の計画の遅れや変更は生じたが、大枠では変更はない。そのため、遅れた分析等はすみやかに遂行する。現在はSSMおよび家計経済研究所のデータを入手し、整備・分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
国際比較の枠組をより意識しながら、引き続き先行研究の検討を行う。 分析については、SSMおよび家計研データを中心に、サンプルの諸属性に注目しながら、性別・専攻別進路の規定要因について、ミクロ・マクロの点に注目しながらさらに分析を進める。その成果は、随時、学会発表(現時点で2件予定)、学会発表をもとにした論文投稿、博士論文指導などをペースメーカーにしながら着実に遂行する。また、予定通りに進行しなかった場合にも、計画の変更に迅速に対応できるように、スケジュールや作業課題の見直しおよび代案の有無の確認等を意識的に行いながら取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に研究費の持ち越し等はない。
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