研究課題/領域番号 |
23730805
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
大森 愛 立教大学, 外国語学部, 講師 (20440258)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 英語教育 / 小学校 / 格差 / 言語政策 / 地域間 / 計量分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、小学校で実施されている英語活動の実施について、地域間格差の実態を明らかにしようとするものである。さらに、平成23年度より高学年で英語活動が完全実施となったが、国家からの財源的保障やそれ以外の統一した支援がない状況での必修化は結果的に教育内容という質の面で自治体間格差を拡大させるという仮説を検証することを目的としている。 そのため、まず本年度は全国の教育委員会を対象として小学校英語活動についてアンケート調査の作成と実施を行った。その後、回収できたアンケートを基にデータセット作成を行った。調査内容は、小学校英語活動の頻度、主な授業担当者、ALTの採用状況、カリキュラム整備状況、教材、教員研修などである。郵送法で、回収率は30%を達成することができた。 小学校英語活動の実施状況については、全国の小学校を対象とした調査が過去に文部科学省や民間研究所により実施されてきた。これらの実施状況の報告書は単純集計を目的とし実態を把握するのに大きく貢献してきた。その一方で、実施状況の差異が何によって生じているかの検討は行われてこなかった。そのため、本調査のように自治体を単位とした調査を実施することによってはじめて各自治体の経済的、政治的、社会的要因との関係を検討することが可能となる。この点が本調査の意義である。 小学校英語活動の実施状況については、その大きなばらつきが指摘され問題視されてきた。その結果、機会均等の確保を目的として平成23年度より高学年において一定時間の必修化が実施された。しかしそれ以外は、授業担当者、指導内容、指導方法、教員研修、さらには低学年における実施頻度など実施状況の大きなばらつきは残ったままである。本調査結果を分析することにより、ばらつきが自治体のどのような要因によって規定されているのかを検証・検討することは重要な課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画以上に進展している。授業期間中は、担当している授業数が多いため研究に割ける時間が非常に限られている。そのため、当初はまずアンケート調査の作成と実施、またその回収までを初年度の計画と定めていた。しかし、他の研究者の助言や業者の協力もあり、次年度の予定としていたデータベースの作成をほぼ完成するところまで研究計画を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、データセットの確認を終了後、それを用いた計量分析に取りかかる。計量分析の結果を学会で発表することを目標とする。さらに学会報告にて論文への評価及び批評を受け、必要に応じて文献調査・計量分析などを含めた改訂を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度から平成24年度にかけて繰越金が生じた。その大きな理由としては、以下の2点が挙げられる。(1)アンケート調査の印刷と郵送の作業で業者を決定する際に、複数の業者より見積もりを取り決定した。そのため費用を予定より抑えることができた。また決定後も、経費が高くならないよう業者からかなり協力を得えることができた。(2)参加した本年度の国際学会が平成24年4月に開催されたため、その経費の処理が平成24年度分の扱いとなった。 上記の理由により平成23年度からの繰越金が生じたが、平成24年度分としてすでに上記の(2)は使用済みである。その他の平成24年度の研究費の使用計画としては主に、アンケート調査のデータベース作成のための費用、アンケート調査の集計・分析結果を希望のあった教育委員会へ送付するための費用、そして国際学会参加料や学会誌投稿料を予定している。また、少しゆとりがあれば図書購入費にも使用したいと考えている。
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