本研究の目的は、自主防犯ボランティア団体の組織・活動の今日的様相を、地域類型の視点から明らかにすることにある。「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」(犯罪対策閣僚会議、平成15年12月)が出て以降、多くのボランティア団体が組織され、または既存団体の機能拡大が図られ、組織的な自主防犯活動が展開されている。犯罪・非行の予防・抑止はもちろんのこと、地域社会の組織化の観点からも、本活動はきわめて有意義であると言えるだろう。しかしながら、その成果は、さまざまな形で事例(個別ケース)として公開されているはいるものの、全体像としては明らかにされていない。地域防犯活動の活性化をめぐる調査研究は散見されるが、地域性・共同性の視点に欠けているように思われる。自主防犯ボランティア団体の活動舞台は地域社会であり、各々の地域社会には、特有の地域性と共同性とがあるだろう。自主防犯ボランティア団体の活動のあり方も、その目的・組織・活動・課題において、地域性と共同性とを反映しているのではないだろうか。 本研究では、【I型】旧住民が多い地域、【II型】旧住民と新住民の混在地域、【III型】新住民が多い地域という3つの地域類型を分析軸として、自主防犯ボランティア団体の組織・活動の今日的様相を探った。結果を大胆に要約すると、以下のとおりである。 【I型】少数の固定的なメンバーで活動しており、活動参加者の親睦・交流が主要な目的となっていることが推測される。メンバーの新規募集や広報活動はしていない。 【II型】30名以上の固定的なメンバーで活動しており、地域には子どもや高齢者が多く、非行も多く発生するとの認識に基づいて、多様な活動を実施している。 【III型】個人の自発的な呼びかけで結成され、比較的女性メンバーが多く、参加者新規募集も行っている。非行は少ないとの認識ながらも、予防を主目的として比較的多様な活動を実施している。
|