サウンド・エデュケーション(身の回りの音を導入した音楽教育プログラム)の学校音楽教育における位置づけを明確にするため、平成23年度は主に発見学習を切り口とした学習者(児童生徒)の側からの理論構築を試みた。平成24年度はそうした理論基盤の上に、より実践的な意味を付与することを目指した。弘前大学教育学部附属小学校1年生を対象とした授業実践を行い(6月中旬~7月)、サウンド・エデュケーションを学校教育に導入する際の、授業構造上の特徴について検討し、その成果を日本音楽教育学会北海道地区例会(7月)ならびに日本音楽教育学会全国大会(10月)において発表した。併せて、学習者集団による学びとして捉えるための視点・方法についても、日本音楽教育学会全国大会において発表した(10月)。日本サウンドスケープ協会(3月)や幼年期音楽教育研究会(3月)では、本研究課題の波及効果の一端(例えば授業者と学習者の共生などの論点)を確認することができたと同時に、幼小連携への応用可能性も拓けた。 サウンド・エデュケーションや音楽づくりを発見学習的に捉えることは、「発見のしかたを学ぶ」「発見することによって学ぶ」という段階に分けて子どもの音楽学習活動を把握することにもつながる――本研究課題に取り組む中で得られたこれらの知見については、教員研修会などの場を活用し、より実践的・体験的な形で成果発信を行った(8月)。さらに、学校現場におけるサウンド・エデュケーションの実情把握のため、弘前市内全小学校を対象とした質問紙調査を実施した(2月)。調査結果と本研究の成果を合わせた小冊子を作成し、協力を得ることができた全教員宛てに配布した。 その他、教員養成段階における環境音の教材化の可能性も含め、平成24年度の研究成果全般については、現在、各種学会誌等への投稿論文として取りまとめている。
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