研究課題/領域番号 |
23730818
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長田 友紀 筑波大学, 人文社会系, 講師 (70360956)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
キーワード | 話し合い指導 / 視覚情報 / ファシリテーショングラフィック / 国語教育 / 国語科教育 |
研究概要 |
話し合いを、文字言語を使ってフォローするものを「視覚情報化ツール」と呼ぶ。本研究はこの視覚情報化ツールを用いた話し合い指導の小中学校での実践化を目ざすものである。 本年度は、複数の調査及び考察を行った。 (1)そもそも「視覚情報化ツール」が小中学校の教育にどのような意味をもたらすのかについて考察を行った。その結果、従来の話し合い指導の二つの問題を明らかにした。一つは「他者と共同で問題解決するための方法を国語科で教えてきたか」というものである。もう一つは「話し合い指導において言語活動の全体性を保障してきただろうか」というものである。話し合い指導において話し言葉のみに着目すれば、生きた言語活動の現実的な側面を切り捨ててしまう恐れがある。上記二つの問題は、一見すれば個別の問題を論じているようにみえる。しかし、本研究で提案する「視覚情報化ツール」を両者の間に置くことで、解決への視点が切り開かれてくることを明らかにした。この成果は、長田(2012)として発表した。 (2)視覚情報化ツールの物理的道具についてフィールドワークによって調査した。その結果、話し合いとは音声言語だけで成立するのではなく、何かを書いたり見たり指さしたりする行為も含みうる極めてダイナミックで複合的な活動であることを明らかにした。また環境にある物理的な道具との相互作用も明らかにした。その成果を長田(2011)として発表した。 (3)視覚情報化ツールの実践化にむけて小中学校段階における活用の可能性を探った。その結果、小中学生においても話し合いの視覚情報化ツールは極めて有効であり、そのデザインとしては図示化がよいことも明らかとなった。さらに発達段階に即した指導のポイントも示唆された。 (4)実践化にむけて小中学校の現職教員にたいする聞き取り調査を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発達的視点からの分析、および小中学校の現職教員に対する聞き取り調査を本年度は全て実施することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進の方策は次の通りである。(1)分析結果を踏まえて、発達的研究の論文化していく。(2)データが不足するようであれば、さらに収集していく。(3)小中学校における視覚情報化ツール使用の実際について調査を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
繰越金は17000円ほどであり、ほぼ計画通りに使用できた。この残金も含めて次年度は以下のように使用する予定である。(1)原稿執筆料・書籍費 前年度に収集したデータを公表するために、原稿執筆料が必要である。また、その際に必要となる文献を購入するために書籍費も必要となる。(2)小中学校への調査旅費 小中学校での調査によって視覚情報化ツールの活用実態を調査するために、調査旅費が必要となる。
|