研究課題/領域番号 |
23730818
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長田 友紀 筑波大学, 人文社会系, 講師 (70360956)
|
キーワード | 話し合い指導 / 視覚情報 / ファシリテーショングラフィック / 国語教育 / 国語科教育 |
研究概要 |
話し合いを、文字言語を使ってフォローするものを「視覚情報化ツール」と呼ぶ。本研究はこの視覚情報化ツールを用いた話し合い指導の小中学校での実践化を目ざすものである。 本年度は、複数の調査及び、これまで得たデータの総合的な考察を行った。 (1)視覚情報化ツールの物理的道具についてフィールドワークによってさらに調査した。とくに話し合いの全体構造におけるツールの役割を考察した。その結果、話し合いの導入部・展開部・終結部という流れに応じて、ツールの使用方法が異なっていることを明らかにした。その成果を長田(2012)として発表した。 (2)視覚情報化ツールの実践化にむけて小中学校段階における活用の可能性を探るために、これまで調査してきた小・中・大学のデータの総合的な分析を行った。その結果、小中学生においても話し合いの視覚情報化ツールの発達的なポイントを明らかにした。この成果については早急に論文化のうえ発表する予定である。 (3)視覚情報化ツールの活用を国語科で実践化するために、現場の教員向けにわかりやすい説明を実施した。卓越した実践家である大村はま氏の実践の中に視覚情報化ツールの萌芽があったことを示すことで、国語科においても視覚情報化ツールの活用を受け入れやすくなるだろう。 (4)これまでの調査では、国語教育における視覚情報化ツールの活用を念頭に考察を進めてきた。しかし、国語科以外においても近年では実践が試みられていることから、国語科と他教科・学校生活全体で活用するための基礎的な研究が必要なことが明らかになった。そこで、他教科や学校生活全体におけるこれまでの話し合い指導を概観するべく資料の収集を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小中学校および大学における発達的視点からの調査についての総合的な分析を実施できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進の方策は次の通りである。 (1)分析結果を踏まえて、発達的研究を論文にする。 (2)データが不足するようであれば、さらに収集していく。 (3)日本におけるグループ討議に関する指導実践を国語科に限らず整理収集する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
データを公表するための論文執筆が次年度にまでかかったため、本年度の研究費のその分を次年度に繰り越すことになる。その分を含め以下のように、次年度は使用する計画である。 (1)原稿執筆料・書籍費 前年度に収集したデータを公表するために、原稿執筆料が必要である。また、その際に必要となる文献を購入するために書籍費も必要となる。 (2)小中学校への調査旅費 小中学校での調査によって視覚情報化ツールの活用実態を調査するために、調査旅費が必要となる。 (3)研究成果の出版費 次年度は、最終年度にあたるためこれまでの研究成果を公表する。
|