話し合いを、文字言語を使ってフォローするものを「視覚情報化ツール」と呼ぶ。本研究はこの視覚情報化ツールを用いた話し合い指導の小中学校での実践化を目指すものである。 本年度は次の研究を実施した。 (1)大村はま実践における話し合いの視覚情報化ありようについての分析 これまでの国語教育における視覚情報化ツールの実践事例としてどのようなものがあったかについて検討した。その結果、大村はま実践においてツール使用の豊かな試みがなされておりこれについて分析を行った。その結果、従来注目されてこなかった話し合い事中におけるカードの使用がツールの実践事例として注目できることを明らかにした(長田2014)。 (2)学校現場向けに視覚情報化ツールをわかりやすく情報提供 本研究のこれまでの成果に基づき学校教育現場に向けてわかりやすく情報提供を試みた。(1)における大村はま実践の分析もその一つの表れである(長田2014)。また全国大学国語教育学会において、今後の話し合い指導の方向として視覚情報化ツールの活用を具体的に提案した。さらに、教員向けの国語教育事典の項目「図解」「コミュニケーション能力」の中に、視覚情報化ツールの活用についてわかりやすく述べた(長田2015刊行予定)。 (3)4年間の研究成果の総括 本年度は4年間研究の最終年度にあたるため、これまでの全ての研究成果を振り返り総括した。既出論文などを体系的に整理するとともに、不足する議論を補い、それまでの成果をまとめた著書の刊行に向けて原稿を執筆した(2015年度に刊行予定)。
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