研究課題/領域番号 |
23730823
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
森田 香緒里 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (20334021)
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キーワード | 作文指導 / 相手意識 / 国際比較 / 英国 |
研究概要 |
本年度の成果は以下の2点である。 (1)教室状況において学習者が文章表現を行う際の、相手意識の重層性に関する研究を行った。 国語教科書における作文単元では「○○さんに向けて作文を書こう」等の設定がなされるが、この場合学習者は、宛名としての相手を意識しつつも、実際にはその作文を読む可能性のある教師や級友をも意識して書くことになる。教室における文章表現は、このように「宛名としての相手」および「隠れた相手」が存在する。この重層性について、①過去の国語教科書の作文単元の変遷、②英国の作文研究の成果、③児童の作文の実態、の3点から検討を行った。その結果、教室状況における書き手と読み手との関係は現実世界のそれとは異なる性質を持っており、それが作文評価に影響すること、また、相手(読み手)の重層性が学習者に意識されることで文章産出におけるモニタリングとして機能しうることを指摘した。 この成果は、日本語国語教育学会の学会誌『月刊国語教育研究』において発表した。 (2)日本の公立小学校において作文調査を行い、データを収集した。 1年生~6年生のクラスにおいて、異なる相手に向けて2種類の作文を書くという調査を行った。英国でも同様の調査を予定していたが、こちらの業務と先方の都合により次年度へと延長となった。日英双方のデータがそろい次第、分析に入る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、日英両国での作文調査を予定していた。日本で作文データを収集した結果、追加調査の必要があるとの結論に至った。これに伴い、英国での調査方法についても再検討しデータ収集の計画を再度立てた。しかし、こちらの本務の都合と英国での調査先との折り合いがつかず、25年度中の遂行に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
日本での追加調査については、調査協力校との事前相談はほぼ完了している。 英国での調査については、海外調査機関を通じて代行を依頼することにする。個人情報等の問題をクリアし研究を遂行するためには、それが最も有効な方法であると判断したためである。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度に、日本と英国で児童作文のデータを収集し分析を行う予定だったが、日本でデータ収集を行ったところ、追加調査の必要があるとの結論に至った。これに伴い、英国での調査方法についても再検討しデータ収集の計画を再度立てたが、こちらの本務の都合と調査先との折り合いがつかず、25年度中の収集に至らなかった。英国でのデータ収集を次年度に持ち越したため、未使用額が生じた。 次年度に英国でのデータ収集を行うため、海外調査費として未使用額を使用する。海外調査にあたっては、個人情報の取り扱い等の問題から、海外調査機関に調査代行を依頼する。海外調査のために計上していた外国旅費は、調査代行費として計上する予定である。また、国内での調査のための旅費、データ入力のための謝金、成果発表のための旅費等については、当初の予定通りとする。
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