研究課題/領域番号 |
23730824
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
喜多村 徹雄 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60466688)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 美術教育 / 鑑賞教育 / 現代美術 / アートプロジェクト |
研究概要 |
「地域の美術館との連携を図る」ことが学習指導要領に記載されて以降、学校と美術館・博物館の連携は徐々に進み、授業開発も行われるようになってきているが、美術館における専門家の配置不足、図工・美術科の授業時数の減少等の諸問題と相俟って普及するには至っていない。また、授業で利用可能な距離圏内に美術館がないなど、双方の努力では解決し難い要因もある。本研究は、美術館に替わり、全国各地で開催されているアートプロジェクトで展示される作品を題材にした鑑賞授業実施の可能性について調査、研究を行うものであり、具体的には、群馬県吾妻郡中之条町で2年に一度開催される「中之条ビエンナーレ」で展示される作品を当該地域の中学校美術科での鑑賞授業の題材化を試みるものである。 平成23年度は、最終年度に実施を予定している授業実践のための基礎情報の収集を自身が出品参加することをとおして行った。その成果として、次のことを把握することができた。1、作家と中之条ビエンナーレ実行委員会とのやり取り、設置場所の選定、制作、搬入期間、開催期間中の教育普及活動などである。記録によれば、過去には参加作家と学校との個人的な連携例があったものの、実行委員会と教育機関との連携が積極的に図られているわけではない。先の教育普及活動も就学児童向けのものではなく一般向けのものであったが、当該地域の学校には、連携に対する潜在的需要が認められた。 2、地域性を重視する当該アートプロジェクトでは、開催地域の特性に着目した作品も多く制作されており、これらを題材化することで在住地域を考える鑑賞授業の開発が可能であることが確認できた。 3、今後、出品作品から授業で題材化し得る作品の選定作業が必要になるが、実行委員会から情報を得るための交渉や学校側で行うべき事前学習など解決すべき点が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他の地域で開催されているアートプロジェクトにおける教育普及状況の調査に不足があるが、題材化を検討している「中之条ビエンナーレ」に関する調査はおおむね行えた。実践を想定している地域における調査の進捗状況から判断して、「おおむね順調に進展している」の評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
不足している授業実践予定地域外で開催されるアートプロジェクトにおける教育普及活動の状況調査を進める。同時に、適宜、附属学校教員に協力を要請し実現可能な授業開発に向けた計画案を当該地域の教員に提示し、改善を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
アートプロジェクトが重複したことで調査に赴くことができず、予定していた旅費を使用することができなかった。調査に赴けなかった地域への調査旅費に翌年度使用する。参加プロジェクトの一連のプロセスをまとめた記録集の入稿が滞ったことで納品が遅れ、次年度計上となったため。翌年度4月中に請求、支払い予定である。平成24年度請求額分の利用計画は、全国で開催されているアートプロジェクトで行われた教育普及活動の調査を行うための旅費及び資料収集、教育普及関連書籍購入費用、授業試案のための教材開発費、記録機材、専門知識提供者への謝金、消耗品等などに使用する。
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