研究課題/領域番号 |
23730828
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
高橋 英児 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40324173)
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キーワード | 国際情報交換(ドイツ) / 暴力防止教育 / 生活指導 / 教育学 |
研究概要 |
本年度は、今年度の調査計画通り、10月にバーテン・ビュルテンベルグ州(アーレン市近郊)の現地調査を行い、新たに2月にバイエルン州(エアランゲン市、ニュルンベルク市)およびザクセン州(ライプツィヒ市)の現地調査を行った。10月の調査では、愛知教育大学の藤井啓之教授、2月の調査では、東亜大学の清永修全准教授に研究協力者として同行いただき、現地の聴き取り調査と資料収集に協力いただいた。 バーテン・ビュルテンベルグ州では、アーレン市のOstalbkreis郡庁内にある教育事務所(Zimmer氏およびSchumschal 氏)および同市近郊のモーツアルト基礎・機関学校(May校長、Schwaebisch Gmuend教育大学のLippold博士)、バイエルン州では、エアランゲン都市警察局(Rupp氏ら)、ニュルンベルクの教育学・学校心理学研究所(Neubauer氏)、ニュルンベルグ教育事務所(Altmann氏)、ザクセン州では、ライプツィヒ地域教育事務所(Schulz氏)、第16中等学校、ライプツィヒ市役所内にある「Lernen vor Ort」担当局(Bischof氏他)へ訪問した。バイエルン州に調査では、フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのSchnaitmann 博士に、またザクセン州では、ライプツィヒ大学のDrinck教授らに調査の協力をいただき、研究協議も行った。 各機関においては、地域の実態及び学校の現状(地域の課題や教育問題など)、子どもの暴力問題の実態、地域の暴力防止教育のプログラム開発と取り組みの状況などを中心に関係者に聞き取り調査を行った。また、モーツアルト学校及び第16中等学校では暴力防止教育プログラムの日常的な実践と子どもたちの様子を観察し、教師やソーシャルワーカーらにインタビューも行った。その他、関係資料の収集も現地で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献調査に関しては、バーテン・ビュルテンベルグ州を中心に、多くの資料を収集できた。今年度調査を開始した州の資料は、引き続き収集していく必要があるが、主要な資料は集められつつある。現地調査に関しては、同州のアーレン市近郊の学校での調査でこの地域および学校の実情や、日々の取り組みの様子などを調査することができたが、予定していたバーテン・ビュルテンベルグ州の暴力防止オフィスへの調査が行えなかった。しかし、新たに暴力防止プログラムが豊富なバイエルン州などの調査を開始し、同州の暴力防止教育の概要をつかむと共に、地域の実態や学校外の機関との連携状況などについても広く情報を収集することができた。よって、総合的におおむね順調であると判断した。 バーテンビュルテンベルク州の現地調査では、昨年調査に協力していただいた方々に協力をしていただき、実際のプログラムの観察などを行い、さらに詳細な情報を収集した。また、昨年協力していただいたSchnaitmann 博士が、今年度よりバイエルン州のフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクへ異動されたため、新たに同州での調査の協力を依頼し、現地調査を行った。その結果、警察機関も含めた地域での暴力防止教育プログラムの概要をつかむことが出来た。また、新たに、ザクセン州のライプツィヒ大学のDrinck教授にも協力いただき、旧東ドイツ地域の現地調査も行うことができた。 調査を行った各州共に、州としての暴力防止教育の全体構想はつかむことが出来た。しかし、同州の統一的なプロジェクトと、各地域での独自のプロジェクトとの関係については、いくつかの都市を事例にしながら、さらに調査し分析していくことが課題となった。また、暴力防止教育のプログラムに関しては、ある程度の種類やタイプを分類はできたが、それぞれの詳細に関してさらに整理していくことも課題である。
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今後の研究の推進方策 |
文献資料の収集及び分析に関しては、州や地域の教育機関が暴力防止教育の為に開設しているホームページやそこで配付されている行政資料などを中心に、日常的にネット等を利用して行っていく。また、これまでの現地調査に関する内容は、訪問した関係機関・関係者と連絡を取り合いながら分析を進める。 現地調査に関しては、これまでの調査で協力していただいた機関の方々に引き続き協力を求め、現地調査を行っていく。その際、暴力防止教育のモデル校や地域的特性のある学校(移民が多い学校や暴力事件が多い学校など)の調査の数をさらに増やしていけるよう、協力を要請する。また、学校以外の関係機関(教育関係機関や警察署など)にも可能な限り調査を広げていく。 上半期は一昨年度・昨年度の調査で得られた資料を整理し、分析を進める。特に、暴力防止教育に力を注いでいたバーテンビュルテンベルク州、バイエルン州の取り組みを中心にまとめる。また、その過程で、必要な資料をさらに収集する。 下半期は、現地調査を行う。昨年度実施できなかった調査-バーテン・ビュルテンベルグ州の暴力防止プロジェクト"stark.staerker.WIR."を推進している暴力防止オフィスと連絡を取り、同州の暴力防止プロジェクトで行われている各種のプログラムに関する資料を収集する-を行う。その上で、昨年度訪問した機関に再度協力を依頼し、暴力防止教育のモデル校や地域的特性のある学校(移民が多い学校や暴力事件が多い学校など)を中心に調査を行い、学校訪問、関係者への聴き取り、プログラム関係の資料などを収集する。また、調査の進展状況によってであるが、現地協力者が見込める他の州(例えば、ベルリンなど)への調査を広げる。なお、現地調査には、愛知教育大学の藤井啓之教授や東亜大学の清永修全准教授に研究協力者として同行していただき、現地調査の資料収集の協力をしていただく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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