本年度は、H25年度の計画で示した通り、これまで調査を行った2州-ザクセン州(ライプツィヒ)とバーデン・ビュルテンベルク州(ラウフェン・アム・ネッカー、フライブルク・イム・ブライスガウ)への現地調査を行った。9月のザクセン州の現地調査では、ライプツィヒ市内にある第68学校や民主主義教育センター(Lahm 氏ら)などを訪問した。3月のバーデン・ビュルテンベルク州の現地調査では、ラウフェン・アム・ネッカー市の2校(Hoelderlin-Werkrealschule、Erich-Kaestner-Schule)と同市のスクル-・ソーシャルワーカー(Meic氏)、フライブルク・イム・ブライスガウ市の3校(Adolf-Reichwein-Schule、Anne-Frank-Grundschule、Lortzing-Schule )とフライブルグ教育大学(Bittlingmayer博士)を訪問し、同州の2010/11年度に始まった新しい予防教育構想と地域の実際の取り組みの関係などの聞き取り調査を行った。 各学校の調査では、地域の特性、子どもたちの状況、またその効果などをについてインタビューするとともに、各学校が暴力防止教育の具体的施策として取り組んでいる学級会を参観し、ねらい及び具体的な方法などについて教師らから聞き取り調査を行った。関係機関への調査では、地域の暴力問題の現状と暴力防止教育の開発状況、及び研究動向などの聞き取り調査を行った。 これまでの研究成果のまとめとして、ドイツにおける子ども・若者の暴力の現状と暴力予防教育の研究・実践動向を論文としてまとめた。また、これまでの調査を通して、ドイツにおいては、州レベルだけでなく各地域レベルでも大綱的な暴力防止教育の構想が策定される一方で、各学校はこうした構想を参照しながら、取り組みを選択的に行っていることが明らかになった。
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