研究課題/領域番号 |
23730829
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
影山 和也 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (60432283)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 高次の幾何的思考 / 変換幾何 / 投影的な見方 |
研究概要 |
本研究課題全体の目的は,高次の幾何的思考の内容と性質を理論的に明確にすること,およびそれを育成するための教授単元を開発することである。平成23年度は,(1)既存カリキュラムの検討と,(2)中学数学1年の実験授業を計画・実践した。(1)について,国定カリキュラムの検討,特に変換幾何にかかわる国内外のカリキュラムを検討した。そのうえで,小学算数における学習活動と経験とが連続的につながるように設計された,わが国中学数学1年「図形の移動と作図」の一連の授業記録を質的に分析した。その結果,わが国中学数学には,図形を静的・論理的に扱うことを重視する伝統的な特徴があること,従前の数学教育研究の知見を補完する形で,同定された中学1年生の幾何的思考を記述した。これらの成果は,平成24年度開催の国際学会(ICME12 in Korea,PME36 in Taiwan)にて成果発表予定である。また,もう一方では,幾何的思考の理論的な明確化を目指して,数学的活動における形式化の機能について検討をした。(2)について,当初予定では「図形の移動と作図」であったが,高次の幾何的思考に数学的な見方としての「投影的な見方」等が欠かせないと判断し,中学数学1年を対象に,投影的な見方と図表現,空間図形の定義活動を扱う実験授業を計画・実践した。これらの研究成果は,高次の幾何的思考を明確にするという目的を果たすために分析中であり,平成24年度開催の国内学会で成果発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の大半は,実験授業データの質的分析によって,高次の幾何的思考を実証的に論じることに費やしたが,また同時に次年度以降の資源となり得る実験授業の設計と実践も行っているため。もともと高次の幾何的思考の理論的研究は,すべての研究機関にわたって継続して行うことになっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度末に行った実験授業の質的分析を通して,幾何的思考が高次になるための目安として想定している「投影的な見方」を実証的に検討しつつ,国内外の数学的認知研究(特に身体的認知)と表現研究によって理論化していく計画である。また,当初計画通り,図形の移動を変換としてみることをもとに,合同・相似へと発展させられる実験授業の設計と実践を考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果発表を行うため,国内外の学会への参加に関わる経費を計画している。また,実験授業のデータ収集および保存のため,ハードディスクやDVDメディアなどの物品を計画している。
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