本研究では、中学校技術科の構造設計学習を支援するソフトウェアの開発と、それを活用した教材開発を目標とする。そのため、教材開発、ソフトウェア開発と中学校技術科教材としての評価を2年間の研究期間において実施した。 まず、コンピュータシミュレーションを利用した強度設計に対する理解を支援するソフトウェアを開発し,予備実践を行い,その効果について調査した.ソフトウェアの開発においては、インタラクティブな操作性と、視覚的に構造と強度を理解できるよう、ソフトウェア開発し、精度検証を実施した。実際にアクリル樹脂を用いた3点曲げ実験とシミュレーション結果の比較により、開発したソフトウェアが十分な精度を有していることを確認した。 また、開発したソフトウェアを中学校技術科の授業で実践するにあたり、本教材を活用した授業案を作成し、現職の中学校教員とともに教育課程での位置づけや授業計画について意見交換した。さらに授業実践として、中学校技術科の授業において開発したソフトウェアを使用し、構造と強度の学習に活用し、その有効性について検討した。 その結果,コンピュータシミュレーションによる仮想ブリッジコンテストを行ったことで,より丈夫なブリッジを製作することができ,ものづくりの問題解決の質が高まったと考えられる.また情報技術がものづくりの問題解決の質を高め,現代の産業を発展させてきたことに気付かせることができたと考えられる.さらに生徒の記述を分類すれば,単にコンピュータシミュレーションに関連する内容だけではなく,技術の社会的役割や技術的思考,身の回りの製品開発に対する興味・関心も示していることが明らかとなった.
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