研究課題
他分野の芸術活動を取り入れた総合的アプローチによる音楽表現学習について、先駆的に行われているスイス・フランス語圏の音楽授業を観察することによって、その効果と日本の音楽教育適用への可能性を探った。(1)本研究は、スイスの6つの公立小学校において50時間を超える音楽およびリトミック授業の観察、スイスの公立小学校へ通う児童185名から得られたアンケート結果を基に考察している。本調査からフランス語圏の州都ジュネーヴに関しては身体の動きを導入した学習、一方第2の都市があるヴォー州では、とりわけ絵や線、図形など視覚芸術を取り入れた音楽学習が盛んに行われていることがわかった。すなわち、総合的なアプローチという視点の共通性はあるものの、各州でその性格は異なっていることが明確となった。この成果は『鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要』22巻に掲載されている。フランス語圏の学校音楽教育では、単に「歌をうたう」「楽器を演奏する」というだけのものではなく、「リズムとモチーフを身体によって表現する」「音楽を伴ったパントマイム」「視覚映像記録の音響効果の想像」等、様々な角度から音楽表現学習が行われている。この多面的で総合的なアプローチ方法について、スイスの指導書からその内容について明らかにした。この成果は『関西楽理研究』vol.29に掲載された。(2)総合的なアプローチによる表現学習が、日本の学校音楽教育において適用可能であるかについて検討した。日本の公立小学校における試験的な授業実践から、総合的アプローチによる学習が、子どもたちに音楽を感じられる感性、音楽を楽しめる姿勢、何かを想像して創りだす創造性が養われるという結論にいたった。この成果については30th ISME World Conferenceにおいて発表し、『研究論文集 -教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集』に掲載された。
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鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学編
巻: 64巻 ページ: pp.69-76
研究論文集 -教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集
巻: vol.6, no.1 ページ: pp.1-13
関西楽理研究
巻: 29巻 ページ: pp.163-170
鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要
巻: 22巻 ページ: pp.11-18